経営の健全性・効率性について
経営の健全性については、「流動比率」が47.13%と100%を下回っており、1年以内に支払わなければならない負債を賄えていない。(要因)①流動負債のほとんどが企業債償還金であるが、下水道事業は多額の初期投資を必要とするため、財源の多くを企業債に依存しており、その償還が毎年度の支出に大きく負担をかけている。H26年度企業債償還金556,804千円②H25年度末において特別会計を廃止し、打切決算時の黒字額88,442千円の現金にて、H26年度より地方公営企業法を適用し企業会計を開始したため、現時点では主な流動資産である現金預金が少ない状況である。H26年度末現金預金253,951千円(今後の対策)・費用対効果を十分に考慮したうえでの下水道面整備を行い地方債計画を盛り込んだ整備計画を策定する。・使用料収入の基である「水洗化率」が86.9%と類似団体に比べ高いとは言えないため、未水洗化世帯への促進、啓発を継続的に行うことで有収水量の確保に努める。効率性については、「施設利用率」が類似団体に比べ低い数値となっているが、有明海流域別下水道整備総合計画に基づき、標準処理に比べ高度な処理を行い窒素・燐の数値を抑えているためであり、今後も有明海の水質保全に努める。
老朽化の状況について
(下水道管渠)昭和40年代に布設した陶管については更正を行っているが、残る管渠は対応年数は経過していないものの、老朽化が進んでいるものがあり、一部処理区は長寿命化計画策定済。(汚水処理施設・雨水ポンプ場施設)機械・電気設備において、耐用年数を経過したものがあり、機器単位で長寿命化計画策定済。(今後の対応)施設の健全度や重要度を考慮した効果的な点検・調査を実施し、安全性を確保するための適切な維持修繕・改築など計画的かつ効率的な施設管理を行うため、ストックマネジメント計画を策定する。
全体総括
当市の下水道事業は建設から維持管理の時代へ移行し、多くの施設で更新の時期を控えている。更新には多額の費用が必要となり、経営に大きな影響を及ぼすと考えられる。そこで、経営基盤強化のため、有効な取組の柱の一つである企業会計方式をH26年度より導入、また、組織力の向上と経費削減を目的とし、水道事業と統合、企業局を設立した。(今後の取組)ストックマネジメント計画の策定にあわせ、財務諸表の分析を進め、適切な管理による下水道サービスの維持、ライフサイクルコストの最小化、さらには、予算の平準化を目的とした総合計画を策定する。