経営の健全性・効率性について
●「経営の健全性」を示す指標収益的収支比率は、総費用に企業債償還金を加えた額を給水収益や収益的収支に対する一般会計からの繰入金等の総収益で、どの程度賄えているかを表す割合です。処理施設の建設や管渠整備の進捗により、平成22年度の普及率52.8%から平成26年度では88.9%と大きく拡大しました。その結果、料金収入が増えたことに伴い、その割合は改善されてきましたが、100%は下回っている状況です。企業債残高対事業規模比率は、料金収入に対する企業債残高の割合です。料金収入が増えたことに伴い、低下傾向ではあるものの、短期的かつ集中的な投資(企業債借入)により、類似団体の平均値との比較では大きく上回っています。●「経営の効率性」を示す指標経費回収率は、使用料で回収すべき経費に対し使用料でどの程度賄えているか、すなわち使用料水準を表すものです。料金収入が増えたことに伴い、類似団体の平均値とほぼ同水準までになりましたが、100%は下回っている状況です。汚水処理原価は、汚水処理に係るコストを表すものです。供用開始後間もない区域が多く、処理原価は高い数値を示していましたが、有収水量が年々増え続けていることにより、類似団体の平均値とほぼ同水準まで下がってきています。施設利用率は、処理施設の稼動状況を表すものです。類似団体の平均値を上回っており、効率的な利用ができているものと判断されます。水洗化率は、処理区域内人口のうち、下水処理をしている人口の割合です。供用開始後間もないこともあり、類似団体の平均値からは大きく下回っています。
老朽化の状況について
●大型団地の開発に伴う受贈財産である管渠が、耐用年数を経過することから、管渠調査を行い、計画的に更新事業を実施することとしています。
全体総括
●公共下水道事業は、末端管渠が整備されてから水洗化されるまで期間を要します。整備事業はほぼ完了しており、今後の料金収入増は一定期間見込まれるものの、整備に伴う企業債償還の負担も大きくなります。将来世代の負担増大を踏まえながら、下水道使用料の適正水準の検討や効率的な維持管理、計画的な管渠整備を行うとともに、料金収入の増や公共用水域の水質保全の観点から、水洗化率を100%に近づくよう常に継続的な普及啓発活動を行う必要があります。また、平成28年4月から地方公営企業法の財務規定等の適用をすることにしています。適用により作成する財務諸表等を活用して、安定した持続し得る公共下水道事業の経営に向けての取組を進めていきます。