田川市：市立病院

地域において担っている役割

田川医療圏において、特に死亡率が高いと言われているがんや心疾患に対する高度・専門医療を提供しているほか、全国的に地方で不足している救急医療や周産期・小児医療についても必要人員の確保を図り、地域が必要とする医療が提供できるよう体制の整備を行っています。急性期の地域中核病院として、他の医療機関や行政機関等と協力し、地域医療構想及び地域包括ケアシステムの構築に努めるとともに、災害拠点病院や感染症指定医療機関の指定を受けていることから、有事の際に求められている機能と役割が果たせるよう、体制の整備を行っています。

経営の健全性・効率性について

①や②、③の数値は平均値よりも良好な数値ではあるものの、特筆すべき結果ではありません。休床している病床を抱えていることもあって、④の病床利用率が低い水準で常態化していること、⑤や⑥の１人当たりの収益が平均値よりも低い金額にあること、⑦の比率も高い数値で推移していることなどを考えると、まだまだ改善すべき点が多々あるものと考えています。地域が必要とする医療を提供するのはもちろん、患者数と医業収益の確保にも努め、収益性を高めるなど、経営状態を改善させなければ、すぐにでも赤字へと転じてしまう厳しい経営状況にあるものと分析しています。

老朽化の状況について

①の比率は平均を上回っており、数値だけ見れば他の病院よりも所有資産が老朽化している結果となりますが、病院事業の場合、特に病院本体の建物や施設、構築物が固定資産に占める割合が非常に高く、減価償却費も同様に高額となるため、この結果となったもので、この指標だけを見て建替え等の検討をすべきではないと考えています。（病院は平成10年度の新設で、21年しか経過していない。）また、②の機械備品も若干平均より高い数値となっていますが、経営状況を勘案しながら、一定程度の耐用年数の超過を許容した上で機器の更新を行うようにしていますので、今後もこのような傾向になるものと考えています。

全体総括

経営状況は年々厳しさを増しており、患者数や診療単価の増加を図って、収支を改善・安定化させる必要があるものと考えています。一方で、公立病院として、医師の確保が非常に困難を極めていることに加え、不採算医療（周産期・小児医療など）を提供していることもあり、経営状態を安定化させることが非常に難しい状況となっています。常に経営に関する問題を抱えた厳しい状態ではありますが、2025年に向けた医療提供体制の改革を始め、様々な改革が医療界において行われていますので、地域の中核病院として、経営状態を勘案しつつ、最良かつ最善の医療を提供するため、不断の努力を続けて行きたいと考えています。