経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は100%が望ましいとされているのに対して、本市のH26年度決算における同比率は39.28%と非常に低い数値である。経費回収率も37.72%と同様である。類似団体の平均値の93.13%と比較しても大幅に低い数値であることがわかる。原因としては、1点目に使用料単価が非常に低いことにより料金収入が少なく、資本費の回収にはわずかしか至ってないことから一般会計繰入金に依存している状態となっていることが挙げられる。使用料単価のH25年度末の全国平均が136.10円/㎥、類似団体の平均が131.20円/㎥に対して、本市の同単価を処理区別で見ると、西条処理区が53.0円/㎥、東予丹原処理区が106.0円/㎥である。2点目は近年の異常気象の影響を受け、ポンプ場の稼働時間が伸びたことや流入水量の増加及び浄化センターの設備増設による動力費の増加、更に修繕料が増加傾向となっていることである。企業債残高対事業規模比率については類似団体の平均値を大幅に上回っており、これも経費回収率の低さの一因である。汚水処理原価は、類似団体の平均値より低く抑えられており、これは維持管理費は増加しているが、資本費が減少傾向となっているからである。施設利用率については、類似団体の平均値を上回っているが、処理能力としてはまだ20%の余力がある。本市のH26年度水洗化率の91.81%は決して低い数値ではないが、これを更に向上させることにより、施設が十分に機能を発揮できるよう努める必要がある。
老朽化の状況について
現在の管渠の老朽化状況については、管渠の耐用年数が50年に対して、昭和50年の建設開始から40年経過していることから、今後は緊急を要する修繕等が発生する可能性がある。それを回避するために長寿命化対策として、平成25年度からアセットマネジメント業務を実施しており、現在は管渠の健全度を調査中である。本市における管渠の更新は、長寿命化計画に沿って実施しており、管更生の対象は耐用年数の残りが20年で管径600mm~800mmの幹線である。処理場及びポンプ場の老朽化状況については、建設開始から24年~35年が経過しており、その間修繕はもとより建設年度の古い西条浄化センターについてはH23年度からH24年度の間に電気及び機械設備等の改築工事を実施し、ポンプ場においても順次改修工事を実施している。今後更に、計画的かつ効果的に管理、建設及び更新を行うため、管渠同様に長寿命化対策としてアセットマネジメント業務を実施している。
全体総括
経営の健全性及び効率性については、料金改定を行い、まずは安定した収入の増加に努めなければならない。それに加えて、未接続世帯への訪問をし、パンフレットの配布や接続のメリットの説明を行うこと及び、現在本市で実施している徴収率の向上を目的とした夜間徴収の強化にも努めていかなければならない。収益的収支比率や経費回収率を少しでも改善させるために、収入の増と経費の節減努力を継続する。また投資の平準化による借入額の抑制を行うことによって、一般会計繰入金の減少につなげていく。老朽化対策については、アセットマネジメント業務をH28年度も行い、長寿命化対策に活用する。