経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については、資本費平準化債の借入を抑制し、雨水処理負担金の増額を図ることで改善してきたが、類似団体と比べて企業債残高対事業規模比率が高く、また、当市の下水道事業は普及促進を図っている段階であり、建設改良費の財源として企業債が活用されていることもあり、改善されていないことから、事業計画の見直しを含めさらに借入を抑制し企業債残高対事業規模比率を低減させる必要がある。さらに、水洗化率の向上や料金改定により、下水道使用料の増収を図り、低下傾向にある経費回収率を改善しなければならない。汚水処理原価については、現時点では類似団体と比べて低い状態にある。しかし、本市は、資本費平準化債の借入を抑制したことにより短期的には増加を示している現状であるが、人口減など考慮すると、資本費平準化債の活用を減らす必要があることからやむ得ないと考える。施設利用率については、大雨等で雨水が汚水管に流入し、終末処理場の流入水量が増加した時、未処理水を公共用水域に流出させない一時貯留施設的な使用もできるものであり、適切な規模であると考えており、類似団体平均値と比較してもほぼ同じ数値である。しかし、地下水等の不明水の汚水管への流入を防止し、常に良好な処理水を維持できるように改善することで、更なる利用率の向上を必要がある。水洗化率についても、類似団体よりは良いが、全国平均に近づくよう努力する。
老朽化の状況について
管渠は、布設後30年以上を経過しているものが存在し、平成26年度末で約66km、5年後には150km、10年後には228kmの管渠が布設から30年以上経過することとなる。このような現状から、普及促進に併せて老朽化施設の改築・更新も行わなければならないため、膨大な事業費を要することが懸念される。今後は、老朽化施設の調査等を行い、その結果に基づいた計画的な改築等により、施設の延命化を図っていく必要がある。また、下水道使用料の算定に関しても、施設の改築更新費用を踏まえなければならない。
全体総括
今後とも、資本費平準化債等の借入を抑制していき、企業債の減少を図ること。引き続き経費節減に努めて、経費回収率の改善を図ること。地下水等の不明水の侵入を防ぐため、管路の維持管理に努めること。水洗化率の向上のため、働きかけを今後とも実施していくこと。企業会計を導入することで、下水道事業経営状況の見える化を図り、適正な使用料水準に基づく全体計画の見直し等を行うこと。これらを実施することで継続できる下水道事業を構築し、美しく良好な環境・安心安全な暮らしを実現する。