経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100％以上、累積欠損金がなく累積欠損比率は0％となっており、類似団体と比較しても健全な経営を行えている。汚水処理原価は、類似団体と比較しても低い水準にある。中でも、平成26年度は「地方公営企業における会計制度の見直し（以下、会計制度の見直し）」に伴い、一部資本費の算出方法が見直された影響もあり低下している。また、経費回収率においても、一定水準以上を保てており効率的な経営を行えている。流動比率は、平成25年度までは100％以上となっており、数値上から見ても短期的な債務に対する支払能力が確保されている。一方で、平成26年度は100％を下回る水準まで低下している。これは、平成26年度に会計制度の見直しにより、1年以内に支払われる企業債償還金を新たに流動負債に計上することとなり、流動負債が増加したためである。しかし、公共下水道事業においては、その財源として下水道使用料等を収入することとが予定されており、100％を下回る水準にあっても実質的には支払能力がある程度担保されていると言える。水洗化率は、当市では、水洗便所設置済人口は増加しているが、処理区域の拡大に伴い処理区域内人口も増加しているため、水洗化率は横ばいになっている。
老朽化の状況について
管渠老朽化率は、類似団体と比較すると、平成25年度までは、ほぼ平均的な水準であるが、平成26年度は、耐用年数を満了した管渠が前年度以前と比較し多かったため、特に高い水準にある。有形固定資産減価償却率は、類似団体と比較すると低い水準にある。これは、当市の固定資産台帳上の取得価額を、企業会計導入時の帳簿価額としており、企業会計導入時までの減価償却累計額を計上していないため、比率の算定上、低い水準になっていることが要因の一つとして考えられ、実際には比率に表れているよりも固定資産の老朽化が進んでいる。上記のとおり、今後老朽化対策が一層求められるため、当市では、長寿命化計画を策定しており、それに沿う形で引き続き老朽化した管渠及び施設の計画的な改築・更新を行い、ライフサイクルコストの縮減を図っていく。
全体総括
当市の公共下水道事業は、市街化区域内の整備を目標に処理区域を拡大しており、それに伴う下水道使用料等の増加もあり、現状においては収支の均衡を保った経営ができている。しかしながら、老朽化が進む管渠及び施設の更新や処理区域拡大による費用の増大が見込まれ、その財源確保が課題であるが、行政区域内人口の減少及び節水型社会の進展により、今後の下水道使用料の大幅な増収は見込めず、財源不足分は企業債の借入により賄うことになり、企業債償還金が将来に渡って負担になると予測される。そのため、今後も引き続き、計画的かつ効率的な事業運営に努め、事業継続に係る財源を確保していく必要がある。
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