経営の健全性・効率性について
今決算においては、地方公営企業法適用による打ち切り決算により、未収金、未払金が発生しているため、例年同様の比較分析はできないが、実質的な数値は昨年とほぼ同様の数値となる。①収益的収支比率は73.91%で、100%を下回っており、単年度収支が赤字であることを示している。これは、固定的な経費である企業債償還金が収益を圧迫していることが要因である。また、収益については使用料以外の収入に依存しており、経営努力が必要である。④企業債残高対事業規模比率は、企業債残高の規模を示すものである。当市は352.33%で、類似団体平均を下回っている。建設事業費の抑制により新規起債発行を抑制しており、また、企業債残高は、年々減少している状況である。⑤経費回収率は、使用料で回収すべき経費をどの程度使用料で賄えているかを示している。当市は77.89%で、類似団体平均を下回っており、使用料収入だけでは経費を回収できていない状態であり、一般会計からの繰入金等に依存している状況である。今後、使用料改定を行い、適正な使用料の確保に努めること、及び、汚水処理費の削減に努めることが必要である。⑥汚水処理原価は有収水量1㎥あたりの汚水処理に要した費用であり、当市は162.32円で、類似団体平均との比較では低い傾向にあるが、全国平均よりは高く、汚水処理にかかるコストが高いことを示している。有収水量は人口減少等の影響で年々減少してきており、水洗化率向上の取り組みが必要である。⑧水洗化率は90.66%で、類似団体平均値を上回ってはいるが、近年ほぼ横ばいの状態である。人口減少、未接続の高齢者世帯の増加等の社会的問題が要因であると考えられ、接続数の増加に向けての努力が課題である。
老朽化の状況について
当市の公共下水道事業は、昭和56年度より整備を年次計画で開始してから令和元年度で39年目になる。また、昭和62年度より一部供用開始し33年目となり、下水道施設の老朽化が目出つ。管渠改善率については、当市の管渠が標準耐用年数を経過していないため更新事業を行っていないが、今年度より、平成30年度に策定を完了したストックマネジメント計画に基づき、下水道施設の改築・更新事業に着手した。今後、年次的に改築・更新作業を進めていく。
全体総括
今後は、少子高齢化に伴う人口減少等から、さらなる料金収入の低下が見込まれる。また、施設の老朽化による更新費用が年々増加することから、より一層効率的な経営が求められるところである。【今後の取組】1.下水道に対する住民の理解を深めることにより水洗化率を向上させ、有収水量の増加を図る。2.費用対効果を考慮し事業計画面積等を見直し、新規投資を抑制し、企業債残高の圧縮に努める。3.ストックマネジメント計画に基づき、効率的かつ効果的な改築更新を実施し、下水道施設の長寿命化を図る。4.整備した施設が適切な使用料収入に結びついていないので、使用料収入の適正化を図る。また、計画的かつ効率的に維持管理を行い、経費削減に努める。5.平成30年度に、今後10年間の方向性を示した経営戦略を策定した。また、令和2年度より地方公営企業法を適用し、資産状況を明確にし、財政マネジメントの向上を図り、持続可能な経営を目指す。