地域において担っている役割
地域医療支援病院として、かかりつけ医との紹介・逆紹介を推進するとともに、市内で唯一の二次救急医療機関として救急医療の提供や、地域の医療従事者に対する研修の実施等により地域全体での医療レベルの向上に努めている。また、大阪府がん診療拠点病院として、国指定の拠点病院と連携し、5大がんを中心とした治療水準の向上や、緩和ケアの充実、患者・家族等に対する相談支援を行い、地域でのがん医療の充実に努めている。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は類似病院平均値を下回り、医業収支比率については新型コロナウイルスの影響が大きい令和2年度を除き、類似病院平均値と同程度である。これは、当院が繰入金に依存しない運営を行っているからである。病床利用率、入院患者1人1日当たり収益、材料費対医業収益比率は類似病院平均値よりも良好な値を示している。外来患者1人1日当たり収益が類似病院平均値を下回っているのは、当院がすべて院外処方箋を発行しているためと思われる。
老朽化の状況について
建設から39年が経過していることから、有形固定資産減価償却率、機械備品減価償却率とも類似病院平均値を上回っており、老朽化が進んでいる。1床当たり有形固定資産が類似病院平均値を上回っているのは、平成8年にリハビリテーション棟を増築した際に、リハビリテーション室や研究室など比較的余裕のある施設配置をしたことによるためである。
全体総括
平成28年に病床利用率の低下、経常収支比率も大幅な赤字を計上した。このため、平成29年に従来の改革プランを見直し、平成30年に再度目標数値の見直しを行い、経営改革に取り組んできた。令和元年度には外部機関による経営分析により、注力すべき診療科ごとの疾患群の洗い出し等を行い、新規患者の獲得とあわせて多方面からの収益改善に向けて取り組んでいるが、令和2年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による受診控え等もあり、医業収益は大きく減少、国や府からの補助金の活用や市からの繰入を行ったものの、単年度収支は赤字となり、抜本的な収支改善に至っていない。地域に必要とされる医療機能、質を確保しつつ、持続可能な病院運営を継続するため、引き続き収支改善に取り組む。