地域において担っている役割
地域の中核的病院として、急性期医療を提供しており、輪番制による救急医療を担っている。回復期機能にも強みを持ち、地域包括ケア病床や回復期リハビリテーション病床の充実に加えて、ホスピス病床を備え、患者が住み慣れた地域で必要な医療を受けられる機能を確保している。また、研修医の受け入れや連携リハビリテーション医学講座による地域の医療従事者の育成にも貢献している。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は91.8%と減少した。また③累積欠損金比率は増加した。これは主に旧病院施設の除却費や控除対象外消費税によるものである。また、新病院開院に伴う職員採用や移転経費等により②医業収支比率も減少した。効率性について、④病床利用率は移転前後の患者制限の影響があったものの、移転後の患者増加により昨年度を上回った。収益面について、医業収益は増加し、⑤入院患者1人1日当たり収益や⑥外来患者1人1日当たり収益は昨年度より増加した。費用面では、職員採用に伴い⑦職員給与費対医業収益比率は増加した。一方⑧材料費対医業収益比率は昨年度に続き平均値を下回った。
老朽化の状況について
新病院開院により、旧病院施設の除却処理を行ったため、①有形固定資産減価償却率は減少した。同じく器械備品の整備・更新を進めた結果、②器械備品減価償却率についても減少した。これにより、③1床当たり有形固定資産は増加し、平均値を上回った。新病院の完成により、懸念であった災害時の医療継続機能は確保されたと考えられるが、今後は減価償却費の増加が見込まれるため、資産の効率的な利用を促進し、過大な投資とならないよう留意する必要がある。
全体総括
平成30年度は新病院への移転を迎え、節目となる一年となったが、旧病院施設の除却費や、新病院開院に伴う職員採用による給与費の増加、移転経費、控除対象外消費税など経費が増加し、経営的には厳しい結果となった。引き続き急性期医療及び救急医療を基本としながら、地域包括ケア病床、回復期リハビリテーション病床及びホスピス病床を最大限活用し、他の医療機関等との連携強化により新病院の医療機能を効率的に発揮して経営の健全化に取り組んでいく。