地域において担っている役割
当院は、建物の老朽化、敷地の狭隘化、医師不足等により、地域から求められる役割や機能を十分に発揮することが難しい状況となり、平成26年11月に新築移転に至った。病床数320床、18の診療科を有し、また、一宮市、清須市等を含めた尾張西北部広域二次救急医療圏において、当院を含めた9病院による輪番制による二次救急体制を維持しており、地域の中核病院としての役割を担っている。医師不足の中で、費用の削減、限られた医療資源をより有効に活用するため、令和元年10月には274床から235床に稼働病床の削減を行った。
経営の健全性・効率性について
④の病床利用率について、老年内科を新設した内科全体では入院患者数が増加したが、脳神経外科及び整形外科で医師交代により入院患者数が減少し、H30と比べ入院患者数が68,944人から67,695人に減少したため利用率が減少した。②医業収支比率について、救急患者数の増加により外来収益が増加、減価償却費及び給与費の減少により医業費用が減少したため、H30と比べ増加した。①経常収支比率について、一般会計から繰入れをしているが②と同様平均値を下回っている。⑤入院患者1人1日当たり収益について、H30年度途中に取得したハイケアユニット入院医療管理加算及び救急医療管理加算のためH30と比べ増加した。⑥外来患者1人1日当たり収益について、救急患者の増加による院内トリアージ実施料の増加、診療情報提供料の増加、高額医薬品の院内処方により診療単価が増加したが平均値と比べ低い数値となっている。⑦職員給与費対医業収益比率について、医業収益が減少したが職員数も減少したため、H30と比べ減少したものの平均値と比べ高い数値となっている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、平成26年11月に新築したため、全国平均と比べ低い数値となっている。②器械備品減価償却率についても、①と同様、平成26年11月の新病院開院を機に機械の入替を多数行い、H28にMRIの導入、医療情報システムの更新、H29に医療情報システムの追加購入、H30にレーザー光凝装置及びエンサイトシステムを購入した。上記の減価償却に伴い減価償却累計額が増加し、全国平均を上回った。③1床当たり有形固定資産について、①、②と同様に平成26年11月の新築及び機械の導入した以降も、適宜機械の新規購入または更新を行っているため、ほぼ横ばいを維持している。
全体総括
病床数に対し医師が不足しているため、患者数及び医業収益が伸び悩んでいる。医師負担軽減及び救急体制の強化を図るために、人材派遣会社に代務医師の派遣を依頼していく。新型コロナウイルス感染症の影響で、令和2年3月以降、不急の手術の延期、新型コロナウイルス感染症専用病床の確保、患者の来院控えが見込まれる状況であるが、経営改善のため、救急体制を強化して救急患者受け入れ数の増加、クリニカルパスを作成して平均在院日数の短縮化、リハビリ職員を増員して初期・早期加算の増加に努める。急性期医療の充実に努めるとともに、地域医療機関と連携して、当地域における地域包括ケアシステムの中核となるべく、令和2年2月に訪問看護ステーション「あしたば」を開設し、がん患者の緩和ケアや医療依存度の高い方に看護ケアサービスを提供していく。