地域において担っている役割
愛知県地域医療構想で、蒲郡市が含まれる東三河南部医療圏は高度急性期、急性期、慢性期が余剰であるのに対して、回復期は不足という状況にあるが、当院は回復期機能となる地域包括ケア病棟をすでに2病棟で運用している。蒲郡市民病院は、市内の救急搬送の90%以上を受け入れる市内唯一の二次医療機関として急性期医療を提供する一方で、高齢化率の高い当市の医療課題に対応する適切な医療の提供もしていかなければならない。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率及び②医業収支比率は、入院患者数が前年度対比116.6%、手術件数が131.5%に増加したことによる入院収益の増が影響している。③累積欠損金比率は、開院当時からの未処理欠損金が大きくなっているため平均値より高くなっている。④病床利用率は、名古屋市立大学との連携強化が成果に繋がっている。断らない救急、病病・病診連携の強化、地域包括ケア病棟の更なる活用、市内外の開業医の先生方への広報活動の強化など、改善策を着実に実行した。⑤入院患者1人1日当たり収益は、前年度及び全国平均を下回っており、地域包括ケア病床の運用見直しと手術件数の増加により一般病床の収益性を高めていく。⑥外来患者1人1日当たり収益は、患者数増及び高額医薬品の院内処方で外来単価が増加している。⑦職員給与費対医業収益比率は、名古屋市立大学との寄附講座締結に伴い給与費が増加したが、医業収益の増加及び適正な看護師配置により比率が低下した。⑧材料費対医業収益比率は、引き続きコンサルタント業者によるベンチマークを活用しながら、薬品費や診療材料費の価格交渉を継続する。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び③1床当たり有形固定資産について、蒲郡市民病院は平成9年10月に現在地へ移転し22年を経過しており、病院建物本体の減価償却は平成50年度まで続く。②器械備品減価償却率について、市民病院には大小さまざまな医療機器があり、検査や手術で使用するような高額な医療機器については、財政状況などを考慮しながら計画的に更新している。昨今は放射線機器の更新増設、手術支援ロボットの導入も行い、人間ドック事業の充実と高度な医療の提供を推進している。地域の急性期医療を担う二次医療機関として、これからも安心して受診していただけるよう医療機器を整備していく。
全体総括
平成29年3月に策定した蒲郡市民病院新改革プランでは、令和2年度までに33項目の具体的な取り組みを実践して、経常収支黒字化と病床利用率70%を目指している。平成30年度に病床利用率は目標を達成し、経常収支赤字額も縮小している。具体的な取り組みの1つである人間ドック事業も平成30年4月から開始し、受信者に対しては検査後のフォローアップを提供している。再編・ネットワーク化については、平成30年度からの名古屋市立大学と寄附講座の開設により、地域の医療課題や高度医療を研究することで連携強化を図りながら、総合病院としての役割を果たすため、他大学とも引き続き連携していく。