地域において担っている役割
西尾市民17万人の命を守る地域の中核病院として、急性期医療と急性期を脱した患者の在宅に向けた医療を提供していく役割を担うとともに、地域の開業医と連携して、地域完結型医療に取り組んでいます。近年、増加基調である当院への救急車による搬送件数も年間約4,000件あり、近隣の公立病院を上回る水準となっています。また、災害時には、西尾市医師会、地域の医療機関と連携し、被災地への医療確保、被災した地域へ医療支援を行うため、地域の災害拠点病院の中心的な役割を担っています。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、平成28年度が国の操出基準以上の繰入により100%を超えていますが、その他は平均値を下回っています。②医業収支比率についても、診療報酬の高いアブレーション治療の開始等、新たな取組により医業収益は対前年度において微増となりましたが、平均を下回る状況にあります。これは慢性的な医師不足による影響が大きく、抜本的な収益向上が図られておらず、また薬品費(抗がん剤)の増加による医業費用増も要因の一つです。③累積欠損金比率は、毎年増加傾向にあるため、収益向上に向け、改革プランの実行を始めとした経営改善に取り組んでおります。④病床利用率は、平成29年度より一部の許可病床数を返還したことにより、平成28年度以前に比べ増加していますが、依然として平均値を下回っています。⑥外来患者1人1日当たり収益がほぼ平均値で推移している一方、⑤入院患者1人1日当たり収益は、平均在院日数の短縮により単価が上昇したため前年度に比べ入院収益が微増したものの平均値を下回っています。これは常勤医師の不足に起因するため、引き続き医師確保(改革プラン)を重点に取り組んでいきます。⑦職員給与費対医業収益比率は、看護師数減のため給与費は前年度より下がったものの、依然平均値より高く推移しております。⑧材料費対医業収益比率は、ほぼ平均値(平成27年度除く)で推移しております。※平成27年度は、高額医薬品(C型肝炎治療薬)による影響によるものです。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は病院本体を、平成元年度に建設しており、29年経過し、法定耐用年数も残り少なくなっております。今後、病院施設の長寿命化等の施設整備計画を策定する必要があると考えております。②器械備品減価償却率は、施設同様に機械備品においても、平均値より老朽度合が高くなっていますが、資産購入費の抑制もあり、器械備品の更新が出来ておらず、計画的な更新が必要であると考えております。③1床あたり有形固定資産は平均値より低い水準で推移しており、将来的な収益的支出が増加傾向にないと考えております。
全体総括
許可病床数の一部の返還(平成29年度)や一部の病棟の休床、碧南市への今後のあり方に関する協議の申し入れを行うなど抜本的な改革に加えて、心臓ドックの開始や医療系コンサルタントによるレセプト精度診断調査等、収益向上のための取り組みに努めておりますが、改革プランで掲げた多くの取り組みで根幹をなす、医師不足の解消には結びついておらず、実質的に20年連続となる純損失を計上している状況です。当院としては、病院存続を念頭に置き、改革プランにおける各種取組項目を着実に実行し、また必要に応じて各種取組項目の見直しも検討し、安定した医療の提供が行える病院運営に努めます。(平成29年度新公立病院改革プラン策定済、令和2年度見直し予定)