地域において担っている役割
当院は、地域の中核病院として急性期医療を担っているほか、静岡県東部地域において数少ない救命救急センターや地域周産期母子医療センターの機能を併設している。また、地域の医療機関との連携強化による国が進める地域完結型医療を推進する地域医療支援病院としての役割のほか、初期研修医を受け入れることで、地域の医師確保に係る基幹型臨床研修病院としての役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は平成26年度以降100%を下回っている状態であったが、令和元年度において100%を上回ることができた。主な要因として、平成27年度から不在であった泌尿器科の常勤医師を確保し、入院診療及び手術診療を再開したことによる入院収益の増加が挙げられる。費用においては、「沼津市立病院新改革プラン」に掲げる「委託内容の見直し」や「後発医薬品の導入」等を着実に進めてきたことで経費の削減の効果が出ている。職員給与費対医業収益比率の上昇は、看護師の年齢構成から将来生じる大量退職に備え、看護師の採用を一時的に増やしたことによるもので、今後は段階的に落ち着いていくものと考えている。
老朽化の状況について
当院は、建築後30年以上経過し、一部に老朽化が見られ、また、有形固定資産減価償却率のほか器械備品減価償却率についても類似病院の平均を上回っており、いずれも必要に応じて適宜、施設・設備・医療器械の改修・更新を行っていく(現時点では、具体的な改修計画等はない)。
全体総括
当院は、平成26年度以降赤字が続いていたが、「沼津市立病院新改革プラン」に掲げる「令和2年度において経常収支比率100%以上」の目標に向けて、経営改善施策を着実に実施してきた結果、令和元年度においてこれを達成することができた。引き続き、地域の中核をなす急性期病院として「救急医療」及び「専門医療」を提供していくほか、地域医療を支援する役割などを果たしつつ、独立採算制の原則に基づいた病院運営を目的に、病院長及び副院長が大学医局等を訪問し、医師を確保することで、患者数増加、さらには収益の増加を図り、また、医薬品の価格交渉や委託内容の見直しをさらに進めていくことなどで費用の削減を図り、収支を改善し、市から経営支援のために受ける繰入金(令和元年度は5億5,000万円)の縮減を行う。