地域において担っている役割
当院は、地域の中核病院として急性期医療を担っていることに加え、静岡県東部地域において数少ない救命救急センターや地域周産期母子医療センターの機能も併設しており、これらの役割も担っている。また、地域医療支援病院として、地域の医療機関との連携強化により国が進める地域完結型医療を推進する役割のほか、国が進める地域包括ケアシステムの一環を担う地域包括ケア病棟を導入し、急性期を脱し、在宅復帰に向けた退院支援やリハビリを行う患者さんの受け入れを実施している。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、平成29・30年度と類似病院平均値との比較においてはほぼ平均値となったものの、直近過去5年間は依然として100%を切っており、新改革プランに掲げる令和2年度の黒字化に向け、経営改善施策を着実に実施していく必要がある。そのためには、常勤医師を確保し主として入院患者数の増加を図ることにより、同平均値を下回っている病床利用率を引き上げていくほか、各種加算を確実に算定することなどにより、入院外来患者の1人1日当たり収益を増やしていくことが必要となる。一方、費用については、材料費対医業収益比率が平成27年度を境に減少傾向にあるものの依然として類似病院の平均を上回っていることから、引き続き薬品費にあっては薬品納入業者と積極的に薬品価格交渉を行うとともに、ジェネリック医薬品の導入を図っていく。さらに、診療材料費についても、事業者の活用や共同購入の促進を図るなど、材料費の削減に努めていく。また、同平均値を下回っているものの、職員給与費対医業収益比率が平成27年度から増加傾向にあるため、各種手当の適正な支出と職場管理に努めていく。
老朽化の状況について
当院は、現施設建築後30年が経過しており一部に老朽化も見られることから、定期的な施設・設備改修が必要である。また、医療機器についても使用頻度や収益性を考慮した上で適宜更新を図ることにより、地域の基幹病院として安定した質の高い医療を提供していく必要がある。なお、指標においては、有形固定資産減価償却率のほか器械備品減価償却率について、類似病院の平均を上回っており、施設や器械ともに老朽化の傾向が見られることから、必要性・有用性を考慮し計画的な更新を実施していく。
全体総括
当院は、平成26年度以降赤字決算となり、平成30年度においては累積欠損金が約58億円になるなど、厳しい経営状況が続いている。こうした中平成30年度は、病床数を426床から387床に削減し、患者負担への影響の緩和などを図ったほか、病院長主導による多職種会議を経営改善コンサルティング会社のアドバイスを受けながら複数回開催し、収入確保策や費用削減策による経営改善に向けた具体政策について協議を実施した。費用削減についても、材料費削減に加え、委託料の仕様見直しなどによる経費削減をより強化し実施した。今後についても、地域の中核をなす急性期病院として「救急医療」及び「専門医療」の提供を実施していくほか、地域医療を支援する役割などを果たしつつ、独立採算制の原則に基づいた病院運営ができるよう、収益の確保及び経費の削減に努めていく。