経営の健全性・効率性について
①平成24年度以降、経常費用(企業債利息)の減少に伴い右肩上がりで改善している。②平成26年度新会計基準の適用により、事業開始当初よりみなし償却を行っていた資産をフル償却に変更して減価償却累計額を積み増しし、法適用開始前に収益化されていなかった長期前受金を収益化したことで、累積欠損金の全てが解消した。③平成26年度新会計基準の適用により、建設改良の財源とする借入資本金を資本から負債に振り替えたため割合が大幅に減少している。このことは、1年以内に返済期限が到来する企業債償還額が多いと考えられる。ただし、企業債償還金は料金収入を原資とする減価償却費(損益勘定留保資金)で賄うことができるため、一概に支払能力がないといえない。④面整備としては、平成19年度末に全体計画区域内人口に対して99%超の整備率に達し、未利用地を除くと概ね整備が完了している。管渠等の整備を着実に行ってきた結果として、債務残高が多くなっている。⑤平成34年度企業債償還のピークを迎えるが、以後、汚水資本費(企業債利息)の大幅な減少に伴い、経費回収率は100%を超える見込みである。⑥汚水処理原価は、企業債利息の減少に伴い、徐々に減少していくと考えている。⑦日当たりの最大稼働率が100%に達することもあり、施設規模は適当なものである。⑧水洗化率は類団と比べても同等に推移している。引き続き、継続的に接続率の向上を図ることとする。
老朽化の状況について
①数値が100%に近いほど保有資産が法定耐用年数に近づいていることを示している。類団平均と比べても低く推移しており、施設の改築等は当分の間必要ないと考えている。②現在、法定耐用年数を経過した施設はないが、平成45年度以降、法定耐用年数を迎える施設がある。施設への投資・改築(更新・長寿命化)計画の策定が必要である。③数値が1%の場合で、すべての管路を更新するのに100年かかる更新ペースである。平成45年度からの投資・改築(更新・長寿命化)に向け財源確保に努めていく必要がある。
全体総括
・資本投資を行ってきた結果、高い面整備を確保した一方で、④事業規模に対する企業債残高が多額となっている。このため、⑤汚水処理費(維持管理費、減価償却費及び企業債利息)を使用料だけでは回収することができず、一般会計からの補助金等を繰り入れることで①経営が成り立っている。・⑤汚水処理費の不足分を補うため、料金単価の見直しを考えるが、平成34年度以降、経費回収率が100%を超える見込みであり、慎重に対応していく必要がある。・平成45年度以降の投資・改築(更新・長寿命化)に向け、経費削減といった不断の経営努力を行い、財源確保に努める必要がある。