経営の健全性・効率性について
①料金収入や一般会計からの繰入金等の総収益で、総費用に地方債償還金を加えた費用をどの程度賄えているかを表す収益的収支比率は、ここ4年間は、90%前後で推移しているが、単年度収支が赤字の状況が続いている。④料金収入に対する企業債残高の割合を表す企業債残高対事業規模比率は、ここ5年間は類似団体平均を下回っており、類似団体に比べ将来世代に対する負担が小さくなっていると考えられる。しかし、今後老朽化する下水道施設の大規模な改築等に多大な費用が必要となると値が大きくなる可能性がある。⑤⑥使用料で回収すべき経費を、どの程度使用料で賄えているかを表す経費回収率は、100%を下回っており、全国平均や類似団体平均と比べても低くなっている。また、有収水量1㎥あたりの汚水処理に要した費用を表す汚水処理原価も類似団体平均を下回っているが、全国平均を上回っている。今後引き続き、有収水量の増加に向け使用料収入の確保に努めていく。⑦施設・設備が一日に対応可能な処理能力に対する、一日平均処理水量の割合を示す施設利用率は、ここ5年間は類似団体平均を下回っており、施設の効率性、運営体制、投資のあり方などを検討する必要があると考えられる。⑧現在処理区域内人口のうち、実際に水洗便所を設置して汚水処理している人口の割合を表す水洗化率は、ここ4年間は類似団体平均を上回っているものの、100%を下回っているため、引き続き水洗化率向上の取組が必要であると考えられる。
老朽化の状況について
平成27年度末現在、管渠総延長約498㎞のうち、布設後50年を超える管渠は約18.6㎞あり、老朽化する管渠の計画的な改築・更新が必要となる。③当該年度に更新した管渠延長の下水道布設延長に対する割合を表した管渠改善率は、平成23年度から平成26年度までの4年間は類似団体平均を上回っていたが、平成27年度は類似団体平均及び全国平均を下回っていた。普及率が高い団体が管渠の改築・更新にシフトしていることが窺える。今後は、耐用年数を経過した管渠の大量更新時期を見据え、実際の老朽化の進行状況を的確に判断していき、管渠の更新については、計画的な実施に努めていく。
全体総括
現状は、収益的収支比率や経費回収率などから分析すると、使用料収入の不足分を一般会計からの繰入金で賄っている状況である。今後、更新投資や老朽化対策に係る費用の増加が見込まれる。これらに対応するため、使用料の改定や水洗化率の向上などによる収益の確保・適正化を目指すが、その前段階として収支・経営状況を明確に洗い出すため、公営企業会計移行に取り組んでいる。移行後に資産状況等の数値が明確になった段階で、今後の経営における収入確保(使用料改定等)と支出抑制(工事の優先順位見直しや更新規模の見直し)の見通しとしての経営戦略を策定する予定である。