経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は過去5年で上昇傾向にあり、平成27年度は流域下水道施設の譲渡に起因する消費税の還付金等による総収益の増加もあり、101.78%である。今後も下水道の処理区域の拡大を図るものの、行政区域内全体の人口減少や節水型機器の普及により、料金収入の劇的な増加は見込まれない状況である。企業債残高対事業規模比率は減少傾向にあり、類似団体と同等の値を示している。なお、平成23年度以降は、使用料改定による料金収入増加に伴い、企業債残高対事業規模比率が減少しているものである。経費回収率は上昇傾向にあるものの、全国平均及び類似団体平均値より低い値を示しているため、今後も未接続世帯への戸別訪問等による水洗化率の向上を図るとともに、一定の時期に使用料改定を行い経費回収率の更なる向上を図る必要がある。
老朽化の状況について
管渠については、昭和46年度に事業着手、昭和51年度に供用開始している。平成25年度末現在の管渠総延長は477,430mで、20年以上経過している延長は約36%、30年以上経過は約21%を占めており、50年以上経過はない。近年の管渠改善率は全国類似団体平均値より低いものの、平成25~26年度で管渠長寿命化計画を策定し、平成27年度より改築更新を実施している。昭和51年7月運用開始の処理施設は、その後機能増強のため増設を繰り返し、現在の設備へと至っている。よって、その耐用年数を大幅に超える設備もあり、機器によっては交換部品も存在しない状況である。平成28年度より、ストックマネジメント計画における全体計画及び実施計画の策定を始め、以降計画的に改築更新を実施する予定となっている。
全体総括
将来に渡り持続的な下水道事業を展開していくために、効率的な公共下水道整備を行いながら、必要な施設の改築(更新・長寿命化)等を併せて行う必要がある。具体的には、収入においては、平成30年度に使用料改定を行う予定であり、それにより料金収入の増加が見込まれる。また、農業集落排水施設の統合やし尿処理施設との接続を進め、スケールメリットによる汚水処理の効率化を図りながら有収水量の確保を図る。一方、支出においては、平成26年度末に流域関連公共下水道から単独公共下水道に移行したため、維持管理負担金がなくなり、処理施設の民間委託による業務の効率化を図っている。また、有収率向上のため、不明水対策や合流改善を進める予定である。