経営の健全性・効率性について
「経費回収率」の指標において,平成22年度の維持管理費の経費回収率は52.29%であり,一度に不足額を解消するのは困難なため,段階的に分けた下水道使用料の引上げを平成23年度に行い,併せて効率的な事務執行と経費節減等に努めてまいりました。平成26年度における維持管理費の経費回収率は81.83%となり,経営状況は以前より改善されましたが,残りの約2割は下水道使用料で賄えておらず,一般会計からの繰入金で賄っている状況です。「収益的収支比率」においても,下水道使用料で償還金と利子を賄うことから更に比率が低くなっています。現在の使用料体系を据え置いた場合,公共と特環の財政収支見通しは,平成28年度から平成32年度までの5年間の算定期間における使用料対象経費である維持管理費が約33億9,600万円,そのうち使用料収入は約25億9,800万円となり,約7億9,800万円の収支不足額が生じる見込みとなり,その結果,これを解消する期間が長期化すると,安定的な事業運営や現在の下水道サービスを維持していくことが困難な状況に陥ることが想定されます。このようなことから,平成28年度から下水道使用料を改定し,一層の経営効率化を図り経費の節減に努めると共に,安定的な財源の確保に努めてまいります。
老朽化の状況について
公共下水道事業を開始して約40年が経過することから,経年劣化の進行している下水道施設の維持管理費の増大や更新需要の発生が予測されます。特に,下水道整備の進展に伴い,中継ポンプ場を構成する施設・設備の数は膨大であり,下水道施設の老朽化等に起因した事故が発生した場合,事後的な対応では市民生活に大きな支障が出るだけでなくコスト的にも不経済となります。今後は,下水道施設における予防保全的な維持管理と平成28年度からの長寿命化対策の実施により,設備が使用限界値に達する前に機能回復を図り,耐用年数の延伸とライフサイクルコストの最小化を図ってまいります。
全体総括
下水道事業は,公共事業の中でも多額の資金と相当の年月を要する先行投資型の事業であり,その財源は国庫補助金を除くと大部分を地方債による長期借入金に依存する仕組みになっております。また,最近の下水道事業を取り巻く社会情勢は変化しており,未普及地域の早期解消に向けた事業を推進するとともに維持費の増大や老朽化施設の改築・更新などによる需要が発生することが予測されております。昨今の財政状況の厳しい中,地域の発展を支える重要な社会基盤としての役割を担うため,長期的な視点に立ち,安定した下水道サービス水準が維持できるよう,健全な下水道事業の経営を図ってまいります。