経営の健全性・効率性について
経営については①~④のグラフより経営収支が黒字で、債務残高も平均より低いことなどからも現在は健全であるといえる。今後の経営状況については、H28オープンの道の駅やH30稼働の誘致企業による工場などによる水道使用量の増大を期待するところではあるが、それ以上に給水人口の減少に伴う給水収益の減少により年々悪化していくことが推測される。更に、数年後には老朽管や施設等の改修・更新を予定していたが、その財源の借入利息と減価償却費が経営を圧迫すること、同時期に計画していた料金の値上げを行うことについて利用者の理解が得られるかなどの問題が多く、更新内容とスケジュールのの見直しの必要に迫られている。また、事業費の1/4(26.4%)を占める給与費についても、現在は必要最低限の職員数であり、規定によりある程度の経験年数も必要とされることから極端な削減は期待できない状況である。なお、⑧有収率については平均より15%ほど下がっているが、H29から漏水箇所の調査・修繕を行い、年度内には率を8割まで回復させる予定であり、これにより⑥給水原価もさらに下がると予想される。
老朽化の状況について
老朽化は①②のとおり、ほぼ右肩上がりに進んでいるため、H32に基幹の配水管更新、H34に大谷地浄水場の全面更新、養蚕取水場からの導水管の一部管路変更などを計画していたが、今後の人口減少による収益低下は抑えるすべがないため、施設を更新から修繕に変更したり、ある程度の収益が見込めるうちに更新を前倒しする可能性はある。なお、③管路更新率については毎年下水道工事に合わせて行うよう計画しているものが多く、下水道工事の進捗状況に因るところが大きく工事量が一定していない。
全体総括
上記1.2.に示す通り経営上非常に厳しい難問が山積している状況であり、現行のままの経営で持続可能とは到底考えられない。試算ではH35前後からは単年度収支が赤字に転落し、そして数年後には最も避けたい運転資金(現金預金)の不足という危機的状況が危惧される。抜本的な対応策とは言えないが、赤字転落の前に料金改定を行って当面の危機を避けたうえで、効果的な経費削減策を模索しなければならない。今後も安全安心な給水事業を継続していくために、事業自体の広域化や業務部門(検針~料金徴収)の民営化など革新的な方策についても現在慎重に検討中である。