経営の健全性・効率性について
ここ4年間の経常収支比率は全て100%を超えており、健全な経営状況が維持できていると言える。しかし、流動比率の低さから見て取れるように、短期的な債務に対する支払能力については余裕がある状況とは言えないため、引き続き経営改善を図っていく必要がある。企業債残高は減少傾向で将来負担は低下しているため、流動比率改善のために企業債の活用についても検討が必要だと考える。給水原価が高く料金回収率が低い状態であり、高い給水原価を水道料金に転嫁できていない状態となっていることも流動比率低下の一因だと考えられる。これは、経常収益の内訳が高料金対策補助金等の給水収益以外に依存している割合が高い上、水道料金が全国的に見ても高水準であることから、料金改定については慎重な対応を取らざるを得ない状態であるためだと思われる。平成28年度も平成27年度同様施設利用率が平均値を上回る一方で、有収率が平均値を大きく下回っているが、これは東日本大震災復旧事業等に要した洗管作業等による一時的なものであると考えられる。
老朽化の状況について
表中の数値を再計算したところ、管路経年化率H27は7.54、H28は8.14、管路更新率H27は0.06であったため、管路経年化率は上昇傾向にあると言える。管路更新率については類似団体平均を下回っているが、管路経年化率も類似団体平均を下回っており、現時点での影響は小さい状態である。類似団体同様、今後老朽化が進むことが予想されるため、管路更新計画に基づき着実に更新を進めていきたい。
全体総括
震災の影響により一時的な経営状況の悪化はあったものの、その後は一定の健全性を維持できているものと思われる。ただし資金繰りについては厳しい状況が続いており、今後は給水人口の減少等により給水収益の伸びが期待できない上に、更新時期を迎える管路が増加すると考えられるため、より一層の経営改善が必要である。