経営の健全性・効率性について
【①】収益的収支を示す指標である。H23は震災による下水道使用料の減収、H25は借入金の借換に伴う償還金が増えたため、例年と比べて低下している。維持管理の見直しや接続勧奨等を行い下水道使用料の増収に努める。【④】下水道使用料収入に対する借入金残高の比率である。H23は震災による使用料減収が要因で大きく伸びている。H24以降は減少傾向にあるため、プライマリーバランスに留意し企業債残高の減少に努める。【⑤】使用料で回収すべき経費をどの程度使用料で賄えているかを示す指標である。H23に低下したのは、震災により下水道使用料が減収したことや災害復旧事業が起因しているが、その後の下水道使用料の回復及び災害復旧事業の進捗に伴い、年々改善傾向にある。【⑥】1トン当たりの汚水処理費用でコストを示す指標である。H23は災害復旧事業による汚水処理費用の増加が起因しており、年々減少傾向にある。
老朽化の状況について
公共下水道の事業開始後40年を経過しており老朽化が否めず、管渠の更新改築が生じてくると考えられる。今後は老朽化が見込まれる管渠の調査、修繕及び更新改築計画を策定し進めて行くにあたり、下水道施設の資産状況を把握する必要がある。公共施設等管理計画や下水道事業の公営企業法適用にも関連するので、各事業計画と整合性をとりながら実施する。
全体総括
各指標とも東日本大震災の影響による下水道使用料収入の減少、災害復旧事業費用等でH23の数値が大きく変動しており、経年での比較分析が難しいところであるが、H24以降を見ると震災前の年度であるH22の数値に近づいてきていることから、収益的収支の経営環境は改善されつつある。現在の投資は復興事業を主に実施しており、事業費が国からの補助財源で賄われているため企業債による借入を伴わず、④「債務残高比率」の上昇はないが、復興事業完了後は企業債が伴う事業が主となるため、事業規模の適正を見極めながら展開していかなければならない。また、①「単年度の収支」や⑤「料金水準の適切性」の値を100に近づけることが経営の健全化及び将来に渡り持続可能な事業運営に資することとなるため、下水道使用料の改定を含めた改善策を公営企業法適用の動きと平行して検討することが必要である。