地域において担っている役割
気仙沼地域の中核的病院として救急医療、周産期医療及び小児医療などを担うほか、耳鼻科・人工透析など当地域にない医療を提供しながら、他の医療機関などと連携して地域医療を支えている。また、宮城県の地域災害拠点病院の指定を受けている。
経営の健全性・効率性について
【経常収支比率・医業収支比率】新病院に係る減価償却の開始により医業収支比率は悪化した。一方長期前受金戻入及び旧病院の管理等に対する繰入金の増加により、経常収支比率は上昇した。【累積欠損金比率】平成2年度決算において累積欠損金が発生して以来、赤字計上が常態化し、悪化している。【病床利用率】平成29年度より改善したが、新改革プランの目標値85.3%には及ばなかった。【入院・外来患者1人1日当たり収益】入院の前年比較では、一部診療科の手術に関する単価の下落が主な要因である。外来については前年度比較で単価・患者数とも増加した。【職員給与費対医業収益比率】平成29年度は新病院への移転に伴う手当の増加による上昇があったが、平成28年度程度に減少し、平均値を下回っている。しかし委託料が増加傾向であるため注意を要する。
老朽化の状況について
有形固定資産・器械備品減価償却率は、新病院の建設及び医療機器更新により平成29年度から大幅に改善し、平均値を下回っており、今後は計画的な資産の更新を図っていく。1床当たり有形固定資産について、平均値より大きく上回っているのは、新病院建設時期が東日本大震災による復興事業期間と重なり、震災の復興需要で資材費や労務単価が高騰したため、建設費がかさんだことが要因といえる。
全体総括
人口減少や医療従事者の不足など当地域における医療機関の経営環境は厳しさを増している。市立病院においては平成29年に新施設に移転し、合わせて設備医療機器の更新によりハード面を充実させた。「安定的な医療の提供」「持続可能な病院経営」を両立すべく、平成29年3月に策定した「気仙沼市立病院新改革プラン」に基づき、経営の効率化に向け収支改善に係る目標達成に引き続き取り組む。