地域において担っている役割
二次医療圏の中核病院として、常勤医不足が続く中でも総合病院的医療を提供するとともに、全診療科24時間、365日対応する救急医療や、子どもを安心して産んで育てる環境づくりのため周産期・小児医療を提供するなど、地域の医療水準を守る役割を果たしている。災害拠点病院や第二種感染症指定医療機関の指定を受け、必要時に適切な医療を提供できる体制を維持している。研修医の教育や医学生の臨床実習の提供など、医療人育成の役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
常勤医不足により診療を維持するための出張医の経費が嵩む上、患者減少に伴い診療収益も減少していることから、経常収支比率、医業収支比率は類似団体の平均を下回り、単年度収支の赤字が続いており、累積欠損金比率も類似団体の平均を大きく上回っている。患者1人1日当たり収益は、入院・外来ともに類似団体の平均を下回っているが、地域包括ケア病棟の運用や提供する医療の質を高めることで、診療単価向上に取組んでいる。診療単価が上昇していても、材料費対医業収益比率は類似団体の平均以下に抑えている。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率及び器械備品減価償却率はそれぞれ66.2%、80.1%で、ともに類似団体の平均を上回っている。平成13年度の病院建設から17年が経過し、施設・設備の老朽化が進んでいることから、計画的な大規模修繕を進め、長寿命化を図っていく必要がある。医療用器械は、緊急性や必要度、収益性や医師からの要望などを考慮し、優先順位を付けながら更新を進めている。医療情報システムが更新時期を迎えるため、電子カルテシステムの導入を含めた更新計画を進めている。
全体総括
平成29年3月に策定した新病院改革プランに基づき、医療環境が変化していく中でも継続して安定した医療を提供していくための取組みを進めている。平成30年度は、高齢化が進む地域の将来を見据えた地域包括ケア病棟を開設した。また、医師確保に向け、医師の修学資金貸付金を制度化した。職員給与費対医業収益比率は類似団体の平均を下回っているが、出張医の委託費を加えると比率は60%を超えるため、定員適正化計画の策定による収益に見合った適正な職員配置が必要である。全国的な医師の地域偏在による医師不足や地域の少子高齢化、人口減少が進む中、今後も非常に厳しい経営状況が続くことが予想されており、更なる経営改善が必要となっている。