経営の健全性・効率性について
「経常損益」、「累積欠損」については、H20年度(平均10.7%)、H24年度(平均21.9%)の料金改定を行ったことにより数値が改善しており、料金回収率にも表れているように「料金水準の適切性」が図られています。「流動比率」については、H26年度から大きく減少していますが、これは公営企業会計制度の見直しによる影響であり、当該値が100%を超えていることを踏まえれば、「支払能力」に問題はないところです。「企業債残高対給水収益比率」については、H19~H24の大きな事業として高度浄水施設整備事業における企業債発行が影響し、類似団体を上回っていますが、H25年度以降は企業債残高が減少し、「債務残高」は改善傾向にあります。「給水原価」は、類似団体より高い状況にありますが、これは近年の施設整備により減価償却費が高くなっていることが、要因となっています。高利率の企業債を繰上償還し支払利息の減少を図るなどの改善策を講じていますが、引き続き「費用の効率性」を高めていく必要があります。「施設の効率性」については、「施設利用率」が示しているように類似団体と比較すると高い数値であり、適正な規模です。「供給した配水量の効率性」については、「有収率」が示しているようにH26年度から若干の改善はしていますが、ムダのない経営を行う観点からも「有収率」の向上は喫緊の課題であるため、漏水調査など行っていき、効率性を高める必要があります。
老朽化の状況について
「施設全体の減価償却の状況」については、有形固定資産減価償却率で表れているように、高度浄水施設整備事業など、比較的新しい施設があるため類似団体と比較すると低い状況になっています。「管路の経年化の状況」、「管路の更新投資の実施状況」については、H20年度とH24年度の料金改定により更新財源を確保したため、類似団体と比較すると若干更新は進んでいます。今後も計画的な更新を行い、老朽化対策を進めていく必要があります。
全体総括
H20年度、H24年度の2回の料金改定により経営状況、老朽化状況は改善していますが、年々人口減少に伴う給水人口の減少により、有収水量の減少に歯止めがかからず、給水収益は減少する一方であるため、更なる費用削減が必要となっています。施設の老朽化についても、資産管理することで今後の更新時期に備えるために、計画的に更新を行っていく必要があります。