地域において担っている役割
五島地域の中核病院として5疾病・5事業のうち、がん医療、急性心筋梗塞医療、精神科医療、離島・へき地医療、一般救急医療、周産期医療、災害医療を提供、また、脳卒中医療、糖尿病医療、小児救急医療も一部提供しており、リハビリテーション医療、結核・感染症対策も実施している。在宅医療は、他の医療機関が担っており、当院では急性増悪時等の入院医療など後方支援を行っている。
経営の健全性・効率性について
①の経常収支は大きく改善し、②の医業収支比率は平均値を下回るものの改善傾向にある。④の病床利用率は類似病院平均値を下回っている。⑤の入院患者1人1日当たり収益は、医療の質の向上により機能評価係数Ⅱを上げることで増加している。⑥の外来患者1人1日当たり収益は、外来化学療法の件数増により増加している。⑦の職員給与費対医業収益比率については収益の増により改善している。⑧の材料費対医業収益比率は高額な材料の使用で悪化した。以上のことから、収益の増により経営は改善しているが、依然として病床利用率は低いため、引き続き病床利用率の向上が課題である。
老朽化の状況について
①の有形固定資産減価償却率は類似病院平均値を下回っているが、②の器械設備減価償却率は類似病院平均値を上回っていることから医療機器の老朽化が進んでいる。今後、高額な医療機器等の更新が必要であることから計画的な更新に努めていく。③の1床当たりの有形固定資産は高額な機器の新規購入が無かったため、ほぼ横ばいとなっている。
全体総括
患者数及び患者1人1日当たり収益の増により経営は大きく改善している。しかし、当院は病床利用率が低いことから、地域の医療における当院の役割を明確にし、地域の医療機関、介護施設や行政等との一層の連携強化を図り、早急に改善する必要がある。また、五島地域は、人口減少が著しく、少子・高齢化も急速に進行しており、患者の医療ニーズも変化してきていることから、将来を見据えた医療提供体制の構築が必要ある。今後、当院では施設改修、医療機器更新が予定されており、資金収支の悪化が見込まれる。資本的支出の増加は減価償却費を増加させ、経常収支を悪化させるため、収益確保や経費節減など経営の健全化に努めていく。