経営の健全性・効率性について
累積欠損金はないが、経常収支比率が100%を下まわっており、料金回収率についても平成22年度以降料金回収率100%を下回っていることからも経営に必要な経費を料金で賄うことができていない状況に注意する必要がある。流動比率については、類似団体平均値よりも下回っているが、100%を優に超え300%程度あることからも短期債務に対する支払い能力は十分に確保されていると考える。しかし今後は、給水収益に対する企業債残高が増加傾向にあるのでこれについても留意する必要がある。有収率については、近年の給水水量の減少やまた無収水量の要因の多くが漏水であることを踏まえると、漏水防止対策を進めて行きながら、引き続き老朽管の更新等を計画的に進めていく必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、管路経年化率、管路更新率いずれの指標も類似団体平均を下回っている。これは、資産の老朽化が進んでおり、管路の更新率が悪いことからも、耐用年数を過ぎた水道管は、減少せず、新しい水道管も増加していないという新陳代謝が進んでいない現状を表している。
全体総括
現時点で経営の効率性、財務の健全性は最低限確保されているといえる。しかしながら、高齢者世帯の増加、節水型機器の普及、企業のコスト削減により水道料金収入が減少する中で料金回収率が100%を下回っていることから、収益性がよいとはいえない。そのため水道事業費用の縮減あるいは収益増加等の対策が必要である。しかし。水道事業費用の縮減を行う上で大きな要因となる人件費は、職員1人あたりの人口の指標値よりこれ以上の縮減は到底無理である。そこで経費削減の努力は今以上に必要であるが安定した財務運営を行う上で他の事業体と比べ大幅に安価な設定である水道料金の改正を検討する必要がある。