地域において担っている役割
当院は和歌山県内の地域中核病院の中で五疾病・五事業すべてを病院単体で対応可能な唯一の病院として、当該圏域の医療を守る為、救急・小児・周産期・精神及び災害医療等の不採算部門を担っている。基幹となる病院として、「質の高いがん医療」が受けられるように和歌山県独自に指定する「がん診療連携推進病院」、若い医師の育成・指導の場として「臨床研修指定病院」、へき地・過疎地域の継続的かつ安定的な医療の確保に貢献する為「へき地医療拠点病院」にそれぞれ指定されている。平成30年度には「救急科」を開設し、医療体制の充実を図っている。令和元年度には、創立70周年に伴い、病院名を「ひだか病院」へ変更した。
経営の健全性・効率性について
④病床利用率が平均並みにも関わらず、①②経常・医業収支比率が例年平均値より低く、⑦職員給与費対医業収益比率が平均値より高いのは、⑤⑥入院・外来患者1人1日当たり収益が平均値と比べ大きく下回っている事が原因と考えられる。またこの影響が③の累積欠損比率にも大きく響いていることが考えられる。⑧材料費対医業収益比率は平均値を大きく下回ったのは、ここ数年の材料費の見直し、C型肝炎治療薬の投薬対象が減少したことによる薬品費の減少が挙げられる。
老朽化の状況について
平成30年度に続き、①②有形固定資産・器械備品減価償却率が共に平均値を超えている事から依然として資産の老朽化が改善されていない事が考えられる。また③1床当たり有形固定資産は、例年通り平均値を下回っているが毎年微増している。以上のことから、今後も資産の適切な更新計画に取り組む必要がある。
全体総括
人口減少など昨今の病院を取り巻く環境は、厳しい状況となっている。当院は経常収支比率が5年以上100%未満、累積欠損比率に関しては令和元年度に100%を超えたことからも、ここ数年の中でも特に厳しい経営状況となっている。また、令和元年度後半には新型コロナウイルス感染症の発生もあり、例年入院・外来患者数が増加傾向の時期に影響を与えた。保有資産については、年々老朽化が進んでおり、設備等への投資が不可欠ではあるが、上記で述べたように経営状況も厳しくなっている為、今まで以上に計画的におこなう必要がある。病院経営の根幹である、医業収益が低いことが長年の課題であり、今後は新たな改革プランの策定と同時に大幅な改革が必要である。