地域において担っている役割
当院は地域の中核病院として、当該圏域の医療を守る為、救急・小児・周産期・精神及び災害医療等の不採算部門を担っている。また、基幹となる病院として、「質の高いがん医療」が受けられるように和歌山県が独自に指定する「がん診療連携推進病院」、若い医師の育成・指導の場として「臨床研修指定病院」、へき地・過疎地域の継続的かつ安定的な医療の確保に貢献する為「へき地医療拠点病院」にそれぞれ指定されている。平成30年4月には「救急科」を開設し、中核病院としてより充実した医療体制の構築を行っている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率②医業収支比率は30年度については例年よりも類似病院平均値との差が縮み、それに伴い④病床利用率は平均値を超え順調に推移したと考える。その一方で③累積欠損金比率は増加しているため今後も経営改善を行っていくことが重要である。⑤⑥依然として入院・外来患者1人1日あたり収益は平均値と大きな差があり、収益改善にはこの部分の増加が大変重要である。⑦依然として平均値より大幅に高い状態であり見直しの必要があるが、29年度と比べ減少した。⑧ほぼ平均値と変わらくなっており、材料費の見直しの効果が出たと思われる。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率②器械備品減価償却率ともに平成30年度は平均値を超えたことで老朽化が進んでいると考えられる。そのため、今後は適切な更新計画を行わなければならない。③1床当たり有形固定資産については、例年通り平均値を下回りつつ、差もほぼ変わっていないため、今後も継続するよう努める。
全体総括
人口減少など昨今の病院を取り巻く環境は、厳しい状況である。当院は5年以上経常収支比率が100%未満であり、累積欠損金比率は29年度から90%台にあがっており、ここ数年経営状態が非常に厳しいものとなっている。しかし29年度途中の休床病棟再開に伴い、30年度は年間を通しての全病棟稼働や、救急科開設による救急患者受入件数の増加等の影響により近年で経常・医業収支比率が最も高くなり、若干の改善はみられたと考える。人件費などまだまだ多くの改善点が残されており、単年度黒字を達成し累積欠損金を減らしていくためにも今後も大幅な改革が必要である。