地域において担っている役割
西南但馬地域の中核病院として、また養父市で唯一の一般病院として、急性期から慢性期、在宅医療までシームレスな医療を提供している。また、公立病院として、高度医療・特殊医療・不採算医療を担い、一般病床の他に、回復期リハビリテーション・地域包括ケア・療養・緩和ケアの病床を有する、ケアミックス型の病院である。地域に欠かせない救急医療については、近隣の医療機関との連携を図り、二次救急までを24時間365日体制で担っている。
経営の健全性・効率性について
ケアミックス型病院である当院は、同規模病院と比較し入院単価が低いため、高い病床利用率を維持することで収益を確保する必要があるが、医師不足によって病床利用率も低い状態となっている。近年は医師数が増加したことで収支改善傾向にあるものの、収支を示す指標は依然として全国平均値を下回る状況である。費用の面では、給与費比率が高く、材料費比率が低いというケアミックス型病院の特徴を示している。材料費の抑制による費用削減効果は限定的であるため、経営の健全化を図るには、給与費や委託費等の抑制対策が不可欠である。
老朽化の状況について
病院の建替えはH19年度に完了しているが、付帯施設である老人保健施設、看護学校はいずれも建築後30年が近づき、建替え・大規模改修等の要否を判断しなければならない時期となっている。病院建替に合わせて導入した多くの医療機器も更新が進み、特に近年はCTやMRI、リニアックといった高額機器の更新が相次いだことで減価償却費が増加している。また、R2年度には電子カルテの更新を行うことで更に収支を圧迫することが見込まれる。なお、当院の固定資産には、付帯施設である看護学校や老人保健施設分も含まれているため、1床あたりの有形固定資産額が全国平均と比較し高額となっている。
全体総括
収支悪化の最大の要因は、患者数が減少した一方で、職員数には大きな変化がないため、給与費が収益を圧迫している点にある。しかし、患者数の減少は医療需要の減少によるものではなく、医師数による影響が大きいと考えており、医師確保による医療提供体制の充実を現在の方針としている。実際、医師数が増加したH30年以降は収支改善傾向にあり、職員数を直ちに削減することは難しい。ただし、当院は高齢化の先進地域にあり、高齢者人口も減少局面に入りつつあることから、今後は医療需要の減少を見込んだ職員配置を段階的に実施して行く必要がある。なお、H30年10月に未稼働病床を40床削減し、コストの削減と業務の効率化に取り組んでいる。