地域において担っている役割
西南但馬地域の中核病院として、また養父市で唯一の一般病院として、急性期から慢性期、在宅医療までシームレスな医療を提供している。また、公立病院として、高度医療・特殊医療・不採算医療を担い、一般病床の他に、回復期リハビリテーション・地域包括ケア・療養・緩和ケアの病床を有する、ケアミックス型の病院である。地域に欠かせない救急医療については、近隣の医療機関との連携を図り、二次救急までを24時間365日体制で担っている。
経営の健全性・効率性について
医師不足による収益力の低下や、病院の建替えによる減価償却費の増加により、収支は全国平均値を下回る厳しい状況が続いている。ケアミックス型の病院である当院は入院単価が低く、収益を確保するには高い病床利用率を維持することが必要だが、H27・28年度の内科系医師の退職により患者数が更に減少し、収益も大幅に落ち込んだ。その後も後任医師の確保が出来ていないことで病床利用率は低い状態が続いている。材料費比率が低い点もケアミックス病院の特徴であるため、材料費の抑制による費用削減の効果は限定的である。経営健全化のためには給与費比率の抑制対策が不可欠となっている。
老朽化の状況について
病院の建替えはH19年度に完了しているが、旧館にある回復期リハビリ病棟(50床)や付帯施設である老人保健施設、看護学校はいずれも建設後25年以上が経過し、建替え・大規模改修等の要否を判断しなければならない時期になっている。病院建替に合わせて導入した多くの医療機器も更新時期を迎え、特に近年はCTやMRI、リニアックといった高額機器の更新が相次いでいる。また、R2年度には電子カルテの更新も控えており、更に収支を圧迫することが見込まれる。なお、当院の固定資産には、付帯施設である看護学校や老人保健施設分も含まれているため、1床あたりの有形固定資産額が全国平均と比較し高額となっている。
全体総括
近年の収支悪化の最大の要因は、患者数が減少した一方で、職員数には大きな変化がなく、給与費が収益を圧迫している点にある。しかし、患者数の減少は医師数の減少によるところが大きく、地域の医療需要の減少による影響はわずかと考えられるため、職員数を直ちに削減するのではなく、医師確保による医療提供体制の充実を現在の方針としている。ただし、当院は高齢化の先進地域にあり、高齢者人口も減少局面に入りつつあることから、今後は医療需要の減少を見込んだ職員配置を段階的に実施して行く必要がある。なお、H30年10月に未稼働病床を40床削減し、許可病床数を380床としており、コストの削減と業務の効率化に取り組んでいる。