経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、過去5年間黒字を維持しているものの平均値を下回っており、一般会計から基準内の繰出金の支援を受け運営している状況である。累積欠損金比率が26年度に0%になっているのは、公営企業会計制度の見直しにより、みなし償却制度が廃止されたことに伴う移行処理によるものである。企業債残高対給水収益比率は類似団体の平均と比較すると2倍近く高く、料金回収率は平均値を下回っている状況である。神河町は山間部に位置し集落が点在している地理的要因により管路は長く、浄水場を12箇所、配水池を19箇所配備しており、水道施設には多額の資金が投資されている。この投資の財源の償還や施設の維持管理費により給水原価も高く、また給水人口の減少もあり料金の回収が厳しい状況である。水道料金は県下トップクラスであり、料金の値上げは人口減少対策の妨げになることなどから現段階で料金の値上げは考えていないが、必要に応じて料金の見直しを検討する必要がある。水道管の老朽化により漏水も多く有収率は70%以下という状況であり漏水調査や管路の更新を含め早急に対応する必要がある。
老朽化の状況について
簡易水道等の上水道への統合(H29.4.1)に伴い、各施設の整備を27年度より実施しており施設の老朽化は改善されるが、配水管については管路経年化率は高く、且つ管路更新率は低い状況である。老朽化が進む配水管については26年度に策定した水道基本計画を基に優先度の高いものを抽出し優先的に更新を進めていくとともに、固定資産全体の長寿命化を図ることにより更新投資の抑制に努めます。更新については、国庫補助金や有利な起債の確保に努め経営状況を見ながら順次実施していく予定です。
全体総括
人口減少に伴い将来の水需要が減少し収益の増加が見込めない中で、老朽化した施設の更新や耐震化等の事業を進めながら、これまでと同様に安心・安全な水道水の供給をしていく必要があります。このような状況に対応するため、施設の適切な点検や補修により長寿命化を図り中長期的な更新で費用の抑制に努めるとともに、平成29年度から簡易水道等を上水道に統合して運営し、料金収入の増加と経費の節減に努め、より一層の経営健全化を図ります。また28年度には「経営戦略」を策定し、今後の経営健全化につなげていきます。