地域において担っている役割
地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院(国指定)としての役割のほか、市唯一の公立病院として、救急医療、小児・周産期医療、災害医療などの政策医療を担っている。また、糖尿病、心臓病、脳卒中などの生活習慣病への医療ニーズが高まっていることから、市保健所と連携しながら急性期医療を提供している。なお、逆紹介を積極的に進めることで、地域の機能分化を推進し、紹介・逆紹介の好循環を生むよう取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
医業収支比率は100%を下回っているものの、類似病院平均値より高い水準を維持している。また、経常収支比率は100%を超えており、累積欠損金もないため、健全経営を維持できている。平成30年度においては、入院患者数、外来患者数ともに増加し、患者1人1日あたりの診療単価が、外来において化学療法等による高度医療の推進などにより上昇したこと等で黒字決算となった。しかし、高額薬品の使用増により、依然として材料費対医業収益比率は類似病院平均値を上回っている状況である。
老朽化の状況について
平成16年に現在の場所に病院を移転して以降、大規模修繕等は実施していないことから、有形固定資産減価償却率は高くなっている。しかし、器械備品減価償却率については、医療機器の更新を優先順位を付けて順次更新しているため、類似病院平均値を下回っている。なお、1床当たりの有形固定資産については、免震構造を採用した施設の建築コストや高度医療を提供するための積極的な設備投資により、類似病院平均値を上回っている。
全体総括
8年連続の黒字決算を達成しており、経営状況は安定している。しかし、高額薬品の使用増による材料費の増加、老朽化する施設・設備の大規模改修等による費用の増加が見込まれる。そのため、健全経営を維持するためには、さらなる収益確保と費用削減が必要なため、「八尾市立病院経営計画(Ver.Ⅲ)」に基づき、公立病院としての役割を果たす取り組み、医療の質の向上に対する取り組みを行うとともに、医療スタッフの確保と人材育成、PFI事業の継続、材料費の適正管理、省エネルギーの取り組み等により健全経営の確保に努める。