地域において担っている役割
当院は、須高地域(須坂市・小布施町・高山村)の中核病院としての役割及び県内唯一の第一種感染症指定医療機関、結核指定医療機関、エイズ治療中核拠点病院としての責務を担っている。内視鏡センターや専門外来等を設け、地域の保健・医療・福祉機関との連携のもと多面的な診療機能を発揮している。また、地域包括ケア病棟を有し、地域医療機関や介護施設等との連携を図り、地域包括ケアシステムの中核的役割を果たしている。さらに、人材育成研修機能として、スキルスラボを活用したシミュレーション研修や総合医の養成、自治医科大学卒業医師などの臨床研修病院としての機能も果たしている。
経営の健全性・効率性について
平成30年度は、経常収支比率、医業収支比率ともに前年度を上回った。材料費や経費の増加により費用は伸びたが、急性期一般入院料2の取得、診療単価の向上、一般病棟及び地域包括ケア病棟の利用率の上昇により医業収益が大きく増加し、経常利益が大きく伸びた。給与費比率は、電子カルテ更新に伴う対応により手当が増加したが、適正な人員配置に取り組み減少した。材料費比率は、ベンチマークシステムを活用した価格交渉により診療材料費は減少したが、高額薬剤適応患者数の増加に伴い、薬品費が伸びた。また、医療機器及び施設設備の老朽化に伴い修繕費や委託料が増加し、経費も大きく伸びている。
老朽化の状況について
減価償却費は、南棟建設時の建物附属設備の一部償却終了に伴い大きく減少した。しかし、建物建設から17年が経過し、多くの施設設備や医療機器において経年劣化が進んでおり、故障や修理が増加している。今後、年数の経過と共にさらに老朽化が進行し、更新が必要な施設設備や医療機器の増加及び更新費用の増大が見込まれるが、施設運営及び診療継続に必要不可欠であるため、中長期的な更新計画を策定し、緊急度、優先度を精査した更新投資を行っていく必要がある。
全体総括
平成30年度は、患者数の増減はあったものの年間を通じて安定した患者数を確保でき、医業収益の増加につながった。また、材料費及び経費の増加により費用が大幅に伸びたが、減価償却費が大きく減少したこともあり、経常利益を大きく確保した。引き続き地域の医療ニーズに応じた診療体制の充実を図り、医療の質の向上に努めるとともに、安定した患者の確保、病床利用率の向上、高い診療単価の維持による収益増加と費用節減を全職員で行い、経営改善を図る。また、施設設備・医療機器は導入から17年を経過することから、今後さらに老朽化が進行し、更新時期が重なることが考えられる。診療機能を維持していくため、設備・機器の状態を把握し、緊急度、優先度の精査を行い、費用を平準化した更新計画を策定し、整備を行っていく。