経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、ここ数年100%前後を上下しており、経営は安定していない。特に今年は、92.59%と前年に比べて下降しているが、営業費用の増が要因である。料金回収率が100%に達していないが、基準外の他会計繰入金はない。料金改定による収益増を検討すべきである。累積欠損金比率は、0%で安定している。流動比率が向上しているが、類似団体及び全国平均と比べて資金残高は前年と比べて低い水準となっている。当町の残高は、前年度からほぼ横ばいで推移した。企業債残高対給水収益比率は、対類似団体値比では、平均的である。起債残高は減少傾向であるため、後年は下降が期待できる。給水原価は、227.21円と他団体と比較して突出している。当町は全町水道計画を実現する中で地形的な要因から人口に対する施設規模が比較的大きくなり、建設改良費が増大してきた。このことにより営業費用に占める維持管理費並びに減価償却費及び資産減耗費が大きくなっており、給水原価高騰の要因となっている。今後、人口減少による有収水量の減少からさらなる給水原価の上昇が予測される。不断の経費節減に努め、将来を見通した施設の見直し、抜本的な経常費用削減を進める必要がある。老朽管の更新が概ね完了し、経年管がなくなったことから漏水がほぼなくなり高い有収率を確保している。一方で使用者に向けて公営水道の安全性及び安定性のPRに努め、有収水量の増加につなげたい。
老朽化の状況について
固定資産減価償却率は、固定資産台帳の見直しの影響もあり7%程度上昇し、他団体の平均値の水準となった。管路は、計画的に老朽管更新を進めてきた結果、最も古いもので28年を経過しており、法定耐用年数を超えた施設はない。このことが高い有収率を支えていると言える。管路以外の施設は40年を超え、耐用年数を超えるものも出始めてきているが、現時点では、早急に更新が必要な施設はないが、機械や電気設備については、突発的な修繕に対応しているが、一方で計画的な更新を進めている。今後、平成元年度に簡水統合整備事業において整備した施設の更新時期が到来する。人口減少や有収水量減に対応するため、施設のダウンサイジングやスペックダウンを検討する必要がある。アセットマネジメントの手法も利用して計画的な設備更新を進めていく必要がある。
全体総括
①経常収支比率100%超(110%超が理想的)を安定させるため、また、来るべき人口減少時代に備えて計画的な料金改定(料金体系の改定も含む。)を行う。②人口減少による有収水量減を最低限とするために公営水道の安全・安定・安心をPRする。③更新時期を迎える施設のダウンサイジングやスペックダウン、統廃合を検討するとともに事業費の平準化を図りながら計画的な施設更新を進める。④不要・遊休施設及び用地の売却処分を検討する。⑤経営改善の推進は、「アセットマネジメント」や「経営戦略」を有効活用する。⑥経営指標の分析に基づき、根拠を明確にした上で目的をもった経営改善を推進する。⑦水道職員の経営参画意識の高揚を図り、職員一丸となって経営改善に取り組む。⑧住民(水道使用者)に経営実態を定期的に公表し、定期的な料金改定実施の機運を醸成する。