経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、ここ数年100%前後を上下している状況で安定しているとは言えない。料金回収率が100%に達していないが、他会計繰入金に基準外はない。しかし、経常収支比率100%超を安定させるため、料金改定による収入増を検討すべきである。累積欠損金比率は、0%で安定している。流動比率は、会計基準の見直しにより大きく低下し196.45%となっているが、主要な流動資産である現金・預金残高は、H26では増額となっている。ただし、類似団体及び全国平均と比較して半分以下となっているので今後の動向に注意していきたい。給水原価は、H26で205.01円と類似団体や全国の平均と比較して突出している。当町は、地形的な特徴と人口規模に対する水源(3つの表流水及び9つの地下水。県営ダムの負担金もある。)や浄水施設(3施設)の数など施設規模が比較的大きくなっている。これにより、減価償却費を含む経常費用が膨らんでおり、高額な給水原価の主要因となっている。今後は、人口減による有収水量の減少により、給水原価のさらなる上昇が見込まれる。不断の経費節減は言うまでもなく、将来を見通した施設の見直しを進め、抜本的な経常費用削減を進めたい。有収率は、老朽管更新が概ね完了していることから漏水が激減し高い数字となっている。地域によっては個人水道に大きく依存している。しかしながら、近年は個人水道も水質・水量上の問題から廃止する使用者も増加傾向にある。公営水道の安全性・安定性のPRに努め、有収水量の確保に努めたい。
老朽化の状況について
固定資産減価償却率は、会計基準の見直しによるみなし償却制度の廃止により、H26は上昇している。管路は、計画的に老朽管更新を進めた結果、最も古いもので27年を経過しており、法定耐用年数を過ぎたものはほとんどない。このことが高い有収率を支えている。管路以外の施設は40年超のものも出始めているが、今のところ早急に更新が必要な施設はないが、機械や電気設備の更新は不測の事態が少なからず発生している。今後、H元年度に完了した簡易水道の統合事業において整備した施設の更新時期が到来する。また、人口減少による給水量減に対応するため、施設のダウンサイジングやスペックダウンを検討する必要がある。事業費の平準化を図るため、アセットマネジメントの手法により計画的な施設更新を進めていきたい。
全体総括
①経常収支比率100%超(110%超が理想的)を安定させるため、また、来るべき人口減少時代に備えて計画的な料金改定(料金体系の見直しを含む)を行う。②人口減による有収水量減を最小限にするために公営水道の安全・安定・安心をPRし、水量の確保に努める。③更新時期を迎える施設のダウンサイジングやスペックダウン・統廃合を検討するとともに事業費の平準化を図るため計画的な設備更新を進める。④不要・遊休施設及び用地の売却処分を検討する。⑤経営指標の分析に基づく、根拠を明確にした経営改善を推進する。⑥経営改善の推進は、「アセットマネジメント」や「経営戦略」を最大限に活用する。