地域において担っている役割
救急医療については、山武長生夷隅保健医療圏における唯一の三次救急医療提供機関として24時間・365日体制で患者の受入れに対応するとともに、他の病院群輪番制病院との役割分担のもと、二次救急医療等に係る後方支援の充実を図っている。地域の中核病院として、小児医療・周産期医療を提供するほか、災害拠点病院として、医療救護活動における拠点機能を担っている。また、地域医療支援病院として、地域医療機関等との相互連携の強化を図っている。
経営の健全性・効率性について
開院(H26.4)以来、段階的な診療科の開設と病棟の開棟を図りつつ、地域の管外搬送率の改善に寄与するなどといった成果を挙げている一方、医師・看護師等の医療従事者の確保の状況等を受けてのフルオープンの延期などにより、厳しい経営を強いられている。千葉県からの追加財政支援(H30:30億円)の措置といった特殊要因を除くと、経常収支比率、医業収支比率及び累積欠損金比率のいずれも、依然として費用超過の状況にあり、類似病院平均値との比較においても非常に厳しい水準にあるものと認識している。職員給与費対医業収益比率及び材料費対医業収益比率については、段階的な病棟の開棟等に伴う収益規模の拡大などにより、部分的な改善はみられるものの、なお厳しい水準にあるとの認識のもと、新たな施設基準の取得、材料費や委託料の適正化など、人材・施設設備を最大限に活用したなかで、収益の確保と費用の合理化に向けた取組を継続する。
老朽化の状況について
平成26年4月開院の新設病院であり、計画的に施設及び機械備品に対する投資が実施されたものと認識している。今後の機械備品の導入や更新等にあたっては、その必要性と収支状況等を総合的に勘案しつつ、中長期的な投資計画に基づいて整備していくこととしている。
全体総括
安全で質の高い医療の提供体制と安定した経営基盤の確立に向けて、中期目標・中期計画、そして新公立病院改革プランに定められた数値目標を達成するため、これまでに蓄積した成果等を踏まえ、着実に経営改善に向けた取組を進めていくこととしている。許可病床である314床全ての稼働に向けた病棟の開棟については、医師・看護師等の医療従事者の確保、医療需要の動向、病院経営の効率性・安定性等を考慮したうえで、計画的に実施していくこととしている。今後も計画の進捗状況を適正に管理し、着実に推進していくため、設立団体・千葉県・千葉大学医学部附属病院等をはじめとする関係機関との情報共有・連携の強化に努めていく。