経営の健全性・効率性について
経営の健全性について、経常収支比率が類似団体平均値と比較しても低くなっているが、これは平成23年度以降、料金収入が減少し続けていることが大きな要因として考えられる。また、平成26年度に経常収支比率が急激に上昇しているが、これは会計基準の見直しに伴い長期前受金戻入が収益化されたことによるものである。しかし、現金を伴う利益ではなく、あくまでも会計基準の変更に伴う計算上のものであり、実態として業績が改善するものではないことに留意する必要がある。経営の効率性について、有収率は徐々に上昇しているものの、平均値と比較して低くなっている。原因としては、水道料金として計上されない漏水などによる不明水が挙げられる。したがって、今後も引き続きこの不明水の特定に努め、改善を図る。流動比率が類似団体よりも低くなっていることについて、前受金が多く存在しているためであって、現金預金も毎年増加傾向にあることから当面問題はない。企業債残高対給水収益が類似団体よりも低い理由については、極力起債に頼らない設備投資を行っているからである。しかし、漏水が頻繁に発生している事実もあり、計画の見直しも視野に入れ検討していきたい。料金回収率が上昇した理由としては、今までみなし償却を行っておらず、会計基準の見直しに伴い、その分の長期前受金戻入が増加し、結果的に給水原価が低下したからである。施設利用率の低下については、近年の節水型家電製品の普及や、住民の節水意識の向上に伴い、配水量が減少したと考えられる。また、当初予定していた浄水場の配水能力との差が大きいため、縮小を検討する必要がある。
老朽化の状況について
老朽化の状況について、管路経年化率は0%であるが、耐用年数が差し迫った管路も存在し、漏水が頻繁に発生している。その一方で、管路更新率は低く推移している。また、漏水状況をすべて把握することは困難で、有収率の向上を阻害している。今後は漏水の危険性がある管路を把握し、計画的かつ迅速に管路更新を進めるよう努める。そして、有収率の高率を維持し、持続的に安全な水を供給できる強靭な水道を目指していく。
全体総括
現在、耐用年数が差し迫った管路が多く存在していることもあり、漏水修理が頻繁に発生している。そのため、管路更新を積極的に行いたいが、近年水道料金収入が減少し続けており、経営を圧迫しているため、優先順位をつけ必要最低限の管路更新にとどめている。しかし、現状のままでは経営状況の悪化に伴い、必要最低限の管路更新すら行えない恐れがある。また、経営状況の悪化が更に進めば水道料金の改定を考慮していく必要がある。したがって、今後は水道料金収入の向上に努め、経営体制の見直しや管路更新を継続的に行っていくなど、将来を見据えた水道事業経営に努める。