経営の健全性・効率性について
東日本大震災以降、それまで80%を超えていた有収率が一気に低下し、平成25年度には70.15%まで落ち込みましたが、平成23年度から広範囲に取り組んできた漏水調査と漏水修繕の効果が表れ、平成26年度は72.34%と震災以降初めて有収率が上昇に転じ、この効果により経常費用の抑制が図られ、経常経費比率の改善にもつながっています。企業会計の内部留保資金は約4億円であり、平成28年度以降白河広域市町村圏整備組合に支払う約3億円の負担金についても十分対応できる水準にありますが、人口減少や節水意識の向上等により給水収益の増加が今後が見込めないため流動性比率に注意しながら慎重な経営に努めなければならない状況にあります。企業債については、平成22年度以降元金償還額が1億4千万円前後、借入額は5千万円以下で推移しており、年々残高は減少していますが、類似団体と比較して企業債残高給水収益比率が高いのは、平成17年度より白河広域市町村圏整備組合からの水道用水受水のための施設整備に約17億円を投資したことによるものであり、今後緩やかな比率改善を見込んでいますが、給水原価や料金回収率については、当面改善が見込めない状況でにあります。平成26年度の1日最大配水量は5,688㎥、1日平均配水量は4,911㎥ですが、計画配水量は1日当たり8,300㎥となっており、今後、水源の休止や浄水場の廃止等配水量の推移を見ながら検討することで効率的な事業運営に努め、経営の健全性を担保していかなければなりません。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、年々上昇しており施設の老朽化が進行していますが、財政的に定期更新が出来る状況ではないため、施設のメンテナンスに努め効果的な維持管理を図りながら、重要給配水施設の計画的な施設更新に取り組むことにしています。管路更新率は、類似団体自体の指標が低い状況であるにもかかわらず、さらに低い指標となっており、管路更新事業への立ち遅れが明確になっています。この管路更新の遅れが有収率の低下につながっており、漏水事故の頻発を招く結果にも繋がっています。管路経年化率については、総延長約110km中、耐用年数を経過している管路延長が約4㎞(3.6%)ですが、石綿セメント管の未更新延長が約12kmあり、これを含めた指標は約14.5%となり、管路更新事業を加速化しなければならない状況にあります。
全体総括
白河広域市町村圏整備組合からの受水のための投資、新たな受水費の負担及び東日本大震災で受けた管路施設のダメージによる漏水の多発や不明水の増加が有収率の低下を招き、これらが複合的に影響して給水原価や料金回収率の数値を悪くしています。また、平成17年度からの受水にあたり多額の投資を要したことで既存施設の更新が遅れているにもかかわらず、経常収支比率及び流動比率の数値が安定しているのは、受水施設の一部移管に伴う負担金約3億円を支払うために資金の内部留保に努めたことと、この間施設更新事業を抑制してきたことによるもであります。この負担金約3億円は、一括払いから10年分割払いになり、来年度以降建設改良費へ資金を集中しやすい状況となったことから、計画的な施設更新に取組み、安心・安全な水道事業の運営に努めます。