経営の健全性・効率性について
本市ではH25に豪雨災害が発生した影響で使用料収入が減少し、経費が増加した。これに伴い経営指標が一時的に悪化したが、経常収支比率(①)及び経費回収率(⑤)においては、H26から回復傾向にある。また、民間委託の推進や人員削減等の取り組みもあり、汚水処理原価(⑥)についても抑制することができている。短期的な債務に対する支払能力を表す流動比率(③)において、H26に100%を下回ったが、これは会計制度の改正により、建設改良等に充てられた企業債の一部が流動負債に含まれることとなったためであり、その償還の原資は使用料収入や一般会計負担金で得ることを予定している。使用料収入に対する企業債残高の割合を表す企業債残高対事業規模比率(④)においては、類似団体と比較して低い値となっている。水洗化率(⑧)についてはH26で93.55%と、類似団体と比較して高い数値となっている。
老朽化の状況について
本市ではH24から地方公営企業法を適用したため、有形固定資産減価償却率(①)のみから老朽化の度合いを分析することは難しい。また、法定耐用年数を経過した資産がないため、管渠老朽化率(②)は算定されないが、今後は老朽化資産が多量に発生することが確実である。更新した管渠延長の割合を表す管渠改善率(③)で示している通り、耐用年数を経過していない資産であっても、経年劣化の著しい資産を優先的に更新している。
全体総括
本市公共下水道事業ではS45に供用開始したため、管渠の法定耐用年数である50年を経過した資産は現在のところ存在しない。しかし、H32以降に大規模な更新期が訪れることや、現在でも経年劣化の著しい資産が徐々に増えてきていることから、今後は早い段階から更新事業に力を入れていく必要があると考える。その財源確保のためにも、経営状況と資産管理を一体的に考え、引き続き費用削減に取り組むほか、収入の安定化を図るため、普及啓蒙による水洗化率の向上を目指すと共に、使用料の定期的な見直しを考える必要がある。