地域において担っている役割
江別市における基幹的医療機関として、急性期医療を提供しているほか、二次医療圏外の南空知地区の医療需要にも応えている。公立病院として、救急・小児・周産期・精神医療を担っており、総合病院として重要な役割を果たしている。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び医業収支比率は、DPCを導入した平成28年度にやや改善したが、その後悪化している。主に内科系の医師数が減少したことで患者数が減っており、患者1人1日当たり診療単価が高まっているものの、目標収益が確保できていないことが主因である。収益が減少しているため、職員給与費対医業収益比率が大きく悪化しているが、一方で材料費は医薬品及び診療材料ともに価格削減が順調に進んでおり、材料費対医業収益比率は平均を大きく上回っている。特に内科系の医師数の確保による診療体制の整備・充実が経営上の喫緊の課題である。
老朽化の状況について
建物施設は平成10年築であり、耐用年数の半分も経過していないことから、当面は計画的に修繕を行い維持していく必要がある。医療機器は、ここ数年でようやく更新が進みつつあるものの、経営状況から更新が遅れている状況であり、器械備品減価償却率が上昇している。平成30年度はRI装置をはじめとする17品目を更新した。今後も経営状況を考慮しつつ必要最低限の更新を実施していく。また、整備機器の多くは更新によるもので、医療の高度化に対応する新規医療機器の整備についても、順次検討していく必要がある。
全体総括
内科系の医師数の不足を早急に解消する必要がある。医師確保は容易ではないが、総合病院における内科の重要性は極めて高く、様々な手段で医師確保に向けて尽力していかなければならない。診療収益が大きく減少したことから、主要な経営指標は軒並み悪化しており、一層の経費削減に努めていく必要がある。特に、人件費は公立病院の性格上、急速な削減を行うことは難しいところであり、中長期的な視点でコントロールしていく必要がある。収益面では、病床利用率が低下していることから、DPC急性期病棟と地域包括ケア病棟を効率的に運用するとともに、市内医療機関を中心に連携を図っていく必要がある。