地域において担っている役割
田川医療圏で死亡率の高いがん、心疾患等に対する高度・専門医療の提供のほか、全国的に地方で不足している救急医療や周産期・小児医療についても必要なスタッフの確保や養成を図り、十分に提供できるよう体制整備を行っている。また、急性期の地域中核病院として、他の医療機関や行政機関等と協力して、田川医療圏における地域医療構想及び地域包括ケアシステムの構築にも努め、地域包括ケア病棟を新たに開設した。
経営の健全性・効率性について
平成28年度決算において、①経常収支比率を始めとする経営の健全性・効率性を示す各指標(②・⑦・⑧)は、平均値より良好な数値を示しており、概ね良好な経営状態にあるものと考えている。③の累積欠損金比率についても、累積欠損金は依然として抱えているものの、数値は平均値よりも低く、今の経営状態が続けば、数年で累積欠損金を解消できる可能性もあるため、今の良い経営状態を継続して行きたいと考えている。一方で、休床している病床を抱えており、④の病床利用率は低い水準で常態化していること、また、⑤や⑥の入院及び外来の患者1人当たり収益が平均値よりも低い金額になっていることから、診療面においては、改善する余地がまだまだあるものと思われる。
老朽化の状況について
①の有形固定資産全体に対する減価償却率は平均を上回っており、この指標だけを見ると、他の病院よりも所有している資産が老朽化していると言えるとの結果となってはいるが、病院事業の場合、特に病院本体の建物及び施設、構築物が固定資産に占める割合が非常に高く、減価償却費も同様に高額になるため、このような結果になったものと考えており、この指標の結果だけを見て、建替え等の検討をすべきではないと考えている。(病院は平成10年度に新設しており、まだ18年しか経過していない)また、②の機械備品については、若干平均よりも高い数値となっているが、必要な医療機器については、経営状況を勘案しながら、更新を行っていることから、今後もこのような傾向になるものと考えている。
全体総括
本院の経営状況は概ね良好な状態にあると言えるが、患者数や診療単価の増加を図るなど、経営をさらに改善させる余地は残されている。一方で、公立病院として、医師の確保が非常に困難を極めていることに加えて、不採算医療(周産期・小児医療など)の提供など、経営状態を安定化させることが非常に難しく、常に問題を抱えている状態ではあるが、2025年に向けた医療提供体制の改革を始め、様々な改革が医療界において行われることとなるため、地域における公立病院として、経営状態を勘案しつつ、最良かつ最善の医療を提供して行きたいと考えている。