地域において担っている役割
市内唯一の公立病院として、二次救急医療に係る病院群輪番制病院として、採算性が低く民間病院では実施が困難な政策的な医療を担っている。また、災害発生時には、市防災計画や医療救護活動要領等に基づき、医療救護活動及び医療救護班の派遣を行うこととしている。
経営の健全性・効率性について
指定管理者制度による病院の運営ベースではほぼ黒字の状況であるものの、市の病院事業会計では、収入が市一般会計からの繰出のみであり、それらは現金を伴う支出に対するものしか認められていないため、結果100%を下回ることとなっている。また、累積欠損金についても、指定管理者制度導入前からの累積金である。病床利用率が全国類似病院平均を大きく下回るのは、許可病床350床のうち、精神科165床が大学の医師引き上げによる休床となっていることが要因となっており、現在は一般病床200床未満の病院規模である。指定管理者制度導入により、職員定数の見直しなどを実行し、市一般会計からの繰出は大幅に改善されたものの、医師不足などにより、入外来患者の増加には繋がらず、近年は医業収支はほぼ横ばいの状況が続いている。
老朽化の状況について
病院施設については、一部施設が昭和後期に建設されたものもあり、経年劣化がみられる。医療設備についても指定管理者による更新は進められているものの、市直営時代の設備も多くあり全体的には老朽化度が進んでいる。
全体総括
指定管理者制度導入により、病院の経営状況は改善されているものの、医師不足による診療科の休診などにより、入院・外来患者数は横ばいの状況が続いている。病院の経営状況の改善のためには、大学との連携や市の医師確保奨学金などにより医師の育成、受入に努めていく必要がある。施設については、多額の更新費用を要することから、維持管理修繕により施設の長寿命化を図っているが、今後は損耗の度合いをみながら、適切な時期に施設の建替え等について検討する必要がある。医療設備については診療に支障をきたさぬよう順次計画的な更新に努めている。