地域において担っている役割
鳥取県東部二次医療圏の救急指定病院として二次救急医療の重要な役割を担うとともに、臨床研修指定病院、在宅療養後方支援病院、へき地医療拠点病院、病院群輪番制病院など、地域医療を支える自治体病院としての様々な役割を果たしている。また、前年度より県から新型コロナウイルス感染症患者の受入体制確保の要請を受けており、1病棟を休止し専用病床を確保して感染患者の受入を行い、新型コロナウイルス感染症重点医療機関としての役割も担った。
経営の健全性・効率性について
救急搬送の積極的な受入れを行ったほか、当院医師が開業医師を直接訪問して紹介患者の獲得に努めるなどした結果、新型コロナウイルス感染症による受診控え等による影響を受けながらもわずかな患者数減少にとどめることができ、診療単価の向上にも取り組んだことで医業収益が増加した。さらに新型コロナウイルス感染症患者対応に積極的に取り組み、国・県等の財政支援を引き続き受けることができたことにより、2年連続で黒字決算となった。
老朽化の状況について
当院は新築移転後25年以上が経過して施設設備の老朽化が進んでおり、当年度は前年度に引き続き大規模な屋上防水改修工事を行った。また医療機器においては、前年度に補助金等を活用して新型コロナウイルス感染症患者の診療を行うための医療設備の整備に取り組んだことに加え、令和3年12月には手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入し、令和4年2月から泌尿器科領域の手術で利用を開始した。今後はオンライン予約・診療の構築などに着手することで、コロナ禍で見えた問題点の解決や安全で質の高い医療サービスの提供を目指す。
全体総括
令和3年度は、前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症対策に係る国・県の補助金等による収入の増加が大きく影響して、2年連続となる経常収支黒字となった。しかし、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが未だ不透明な中で、専門医の確保、高度医療や救急医療体制の充実に加え、高齢者医療や在宅診療支援等の地域医療の確保を図りながら、経営の安定化を目指していく必要がある。