地域において担っている役割
鳥取県東部医療圏の中核病院として、救急医療・高度専門医療・がん医療などをはじめとした急性期医療を提供すると共に、東部医療圏唯一の在宅療養後方支援病院として、在宅療養者の救急時における病床の確保及び受入体制の充実に努めている。また、平成28年11月より地域包括ケア病棟の運営を開始し、急性期から回復期さらに在宅医療の支援へと切れ目のない医療提供を推進している。
経営の健全性・効率性について
・平成23年度より継続していていた経常収支黒字が、専門医の不足などによる患者数の減少が影響し、平成27年度より2年連続の経常収支赤字となり、医業収支比率も平均値よりは上回るものの大幅に落ち込んだ。累積欠損金比率についても平成26年度の制度改正により大幅に増加し、平成27年度以降も赤字決算が続き平均値を上回っていて、非常に厳しい経営状況となっている。病床利用率についてはどの年も平均値を上回っており、病床が比較的効率的に稼動しているといえるが、入院患者1人1日あたりの収益は、平成28年度に地域包括ケア病棟の運用が開始されて入院患者数は増えたものの、手術件数が前年度より11.5%減るなどして平均値を下回っている。外来患者1人1日当たり収益については平均並みに推移している。平成27年度より減少している医業収益に対し、給与費は給与改定や定期昇給等により年々増加しており、職員給与費対医業収益比率は平均値を大きく上回っているので、今後も適切な職員採用計画や人員配置が求められる。材料費対医業収益比率については平均値を下回って推移しているので、今後もより削減効果の期待できる手法の検討を継続していく必要がある。
老朽化の状況について
・有形固定資産減価償却率は平均値を上回って推移している一方で、機械備品減価償却率は平均並みであることから、当院は新築移転後20年以上が経過しており、移転時に整備した様々な医療機器等は更新されているものがある一方で、施設整備面の老朽化が進んでいて、今後の修繕・改築費用の増大が懸念される。1床あたり有形固定資産についても平均値を上回っていることから、今後は契約方法や費用軽減を考慮した方策を検討して経費削減に努めながら、適切な更新計画に沿って設備投資を進めていく必要がある。
全体総括
当院では平成27年度より続いている経常収支赤字を解消するために経営改善に努めているところだが、累積欠損金は増大し依然として厳しい状況は続いている。平成28年12月に鳥取県地域医療構想が策定され、その中では団塊の世代が後期高齢者となる平成37年度を見据えて、東部医療圏の病床の機能分化及び医療関連施設との連携、在宅医療・介護の推進などが求められており、当院でも地域包括ケア病棟の有効な運用による患者確保や、赤字化の大きな要因になっている専門医の確保に引き続き努めていく必要がある。また、施設設備等の老朽化への対策として、ESCO事業の活用を検討し、初期投資なく設備改修を実現し、省エネルギー・光熱水費削減を図るなどして、更なる経費削減に取り組みながら経営の黒字化につなげていきたい。