地域において担っている役割
地域医療支援病院として、かかりつけ医を支援するなど地域医療の充実と効率的な医療提供体制の確保を進めるとともに、救急告示病院として、豊能医療圏における二次救急医療の一翼を担い、安全・安心な医療の提供に寄与している。加えて、大阪府がん診療拠点病院として、地域におけるがん医療の充実を図っている。また、厚生労働省が指定する臨床研修病院として、医科及び歯科の研修医を受け入れ、指導及び研修を実施しており、次世代を担う医師の育成にも注力している。
経営の健全性・効率性について
医療需要を踏まえながら診療機能の強化・充実を図ってきた結果、診療単価の上昇につながり、経費削減の取り組みも相まって、経常収支比率は良化傾向にあり、医業収支比率も100%を超えている。診療体制の強化・充実や救急搬送患者の積極的な受け入れなどで入院収益は増加し、医業収支比率は二年連続で100%を超えたものの、類似病院と比較して医業外収益での一般会計繰入金が少なく、経常収支比率では100%を下回っている。単年度収支は改善傾向にあるものの、依然として赤字決算が続いているため、累積欠損金は増加しており、累積欠損金比率は類似病院平均値より大幅に高い状態にある。
老朽化の状況について
平成9年の本館建設から20年以上が、平成16年の東館建設から10年以上が、それぞれ経過しており、有形固定資産減価償却率は高い状態にある。器械備品減価償却率については、近年、大型医療機器の更新を進めており、類似病院平均値よりも低位にあるが、他団体と同様、法定耐用年数を超えて使用することが多いため、高い比率を維持している。MRIやCT、リニアックといった高額医療機器を整備し、地域の基幹病院として高度な医療を提供する体制を整えているため、1床当たり有形固定資産の額は類似病院平均値や全国平均よりも高い値となっている。
全体総括
診療機能の強化・充実が収益性の向上につながっているものの、必要経費である人件費や材料費なども増加傾向にあるため、当年度収支の黒字化には至らず、累積欠損金は増加し続けている。施設の老朽化によって今後は維持補修や改修にかかる費用が増加していくため、公立病院としての機能を維持しつつも、収益性が見込まれる診療科に資源を重点化することなどの検討も必要になると考える。一般会計繰入金を増額することは、市の財政状況を踏まえると非常に厳しいため、経営健全化を図るうえでは一層の収益性向上と経費削減が必要不可欠となってくるが、まずは中期経営計画に基づいて令和2年度までに経常収支での黒字化をめざす。