地域において担っている役割
当院は、建物の老朽化、敷地の狭隘化、医師不足等により、地域から求められる役割や機能を十分に発揮することが難しい状況となり、平成26年11月に新築移転に至った。病床数320床、19の診療科を有し、また、一宮市、清須市等を含めた尾張西北部広域二次救急医療圏において、当院を含めた9病院による輪番制による二次救急体制を維持しており、地域の中核病院としての役割を担っている。また、新型コロナウイルス感染症の軽症から中等症患者の入院治療を行い、令和2年7月には愛知県より「重点医療機関」の指定を受け、陽性患者の受入体制を確保している。
経営の健全性・効率性について
④病床利用率について、新型コロナウイルス感染症の影響によりR1と比べ入院患者数が67,695人から58,199人に減少したため利用率が下がった。②医業収支比率について、新型コロナウイルス感染症の影響により医業収益が悪化したため、R1と比べ減少した。①経常収支比率について、新型コロナウイルス感染症関連の補助金収入により医業外収益が増加したため、R1と比べ改善した。⑤入院患者1人1日当たり収益について、HCUの運用病床を10床から12床に増加したことにより、R1と比べ増加した。⑥外来患者1人1日当たり収益について、慢性疾患の患者が不急の受診を控えたことに加え、脳神経外科や泌尿器科で高額な薬剤の使用が増えたため、R1と比べ増加した。⑦職員給与費対医業収益比率について、医業収益が減少し、職員数が増加したため、R1と比べ増加した。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、平成26年11月に新築したため、全国平均と比べ低い数値となっている。②器械備品減価償却率についても、①と同様、平成26年11月の新病院開院を機に機械の入替を多数行い、H28にMRIの導入、医療情報システムの更新、H29に医療情報システムの追加購入、R1に眼科手術装置を購入した。上記の減価償却に伴い減価償却累計額が増加し、全国平均を上回っている。③1床当たり有形固定資産について、①、②と同様に平成26年11月の新築及び機械を導入した以降も、適宜医療機械等の新規購入または更新を行っているため、ほぼ横ばいを維持している。
全体総括
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う患者数の減により、医業収益が減少したため、医業損益は悪化した。しかし、新型コロナウイルス感染症関連の国庫及び県費補助金の収入により、経常損益は大幅に改善した。病床数に対し医師が不足しているため、患者数及び医業収益が伸び悩んでいる。令和2年12月から医師の負担軽減及び救急医療の体制強化を図るために、民間会社に代務医師の派遣を依頼し、夜間当直を2人体制にしている。令和3年4月より上水道費用の削減及び災害時の飲用水確保のために地下水飲用化事業を実施する。また、新型コロナウイルス陽性患者用の病床を確保し、引き続き積極的に陽性患者を受け入れていく。平成28年度に策定した新公立病院改革プランを令和4年度中に更新する予定。