地域において担っている役割
愛知県地域医療構想で、蒲郡市が含まれる東三河南部医療圏は高度急性期、急性期、慢性期が余剰であるのに対して、回復期は不足という状況にあるが、当院は回復期機能となる地域包括ケア病棟をすでに2病棟で運用している。蒲郡市民病院は、市内の救急搬送の90%以上を受け入れる市内唯一の二次医療機関として急性期医療を提供する一方で、高齢化率の高い当市の医療課題に対応する適切な医療の提供もしていかなければならない。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率及び②医業収支比率は、入院患者数の減少による入院収益の減が大きく影響している。④病床利用率は、一般病床と地域包括ケア病棟で適切な医療を行い、平成29年3月策定の新改革プランに沿って病床利用率70%の達成を目指していく。⑤入院患者1人1日当たり収益は、全体で平均を下回っているが、一般病床で49,700円と全国平均を上回っている。今後は手術件数の増加で単価を上げたい。⑥外来患者1人1日当たり収益は、高額医薬品の院内処方で外来単価が増加している。今後は検査件数及び逆紹介患者の増により、さらなる単価増を図りたい。⑦職員給与費対医業収益比率は、一般病棟7対1看護体制を維持しながら、地域包括ケア病棟の拡充(1病棟→2病棟)を受けて、適正な看護師配置となるよう看護師業務の見直しや計画的な採用をしていく。⑧材料費対医業収益比率は、引き続きコンサルタント業者によるベンチマークを活用しながら、薬品費や診療材料費の価格交渉を継続する。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び③1床当たり有形固定資産について、蒲郡市民病院は平成9年10月に現在地へ移転し20年が経過しようとしており、病院建物本体の減価償却は平成50年度まで続く。②機械備品減価償却率について、市民病院には大小さまざまな医療機器があり、検査や手術で使用するような高額な医療機器については、財政状況などを考慮しながら計画的に更新している。今後は臨床検査機器、電話交換機、消化器内視鏡システム、MRI(磁気共鳴診断装置)の更新を予定しており、地域の急性期医療を担う二次医療機関として、これからも安心して受診していただけるよう医療機器を整備していく。
全体総括
平成29年3月に策定した蒲郡市民病院新改革プランでは、平成32年度までに33項目の具体的な取り組みを実践して、経常収支黒字化と病床利用率70%を目指す。経営形態の見直しについては、当面は現在の地方公営企業法の一部適用を継続していくが、将来の可能性として地方公営企業法の全部適用などの選択肢を検討していく。再編・ネットワーク化については、今後、関連医局を中心とした大学病院と医師派遣にとどまらず、共同研究や人事交流など連携をさらに強化していく必要がある。