地域において担っている役割
当院は、県東部地域の駿東田方医療圏において、3次救急対応の救命救急センターを開設し、急性期医療や小児・周産期医療など、地方・民間では対応が困難な行政的医療を安定的・継続的に支える役割を担っている。また、令和3年8月からは県指定の「新型コロナウイルス感染症重点医療機関」として、積極的にその対策に尽力し、的確に行政的・社会的要請に応える地域の中心的な医療機関としての役割も果たしている。
経営の健全性・効率性について
新型コロナウイルス感染症の長期化により患者数は前年度並みに停滞したが、手術件数の増などにより医業収支の改善を図ったこと、医業外収益において一般会計からの経営支援やコロナ対策関連の補助金を収入したことなどにより、経常収支比率は、前年度から8.5ポイント増の102.6%となり、収支の黒字化を達成した。また、入院患者1人1日当たり収益は67,383円で、類似病院の平均値(59,838円)を上回ったことは、地域の急性期医療を担う当院の役割を一定以上果たしているものと認識している。材料費については、特に、薬品費及び診療材料費に係る更なる価格交渉など、費用の削減・縮小に向けた取組を検討していく。
老朽化の状況について
当院は、現施設建築後30年以上経過しており、一部に老朽化も見られることから、定期的な施設・設備改修が必要である。また、医療機器についても使用頻度や収益性を考慮した上で適宜更新を図ることにより、地域の中核病院として安定した質の高い医療を提供していく必要がある。なお、指標においては、有形固定資産減価償却率のほか器械備品減価償却率について、類似病院の平均を上回っており、施設や器械ともに老朽化の傾向が見られることから、必要性・有用性を考慮し計画的な更新を実施していく。
全体総括
コロナ禍の長期化や今後の人口動態などから、患者数の停滞を考慮しつつ、今後の病院経営を検討していく必要があるものと認識している。引き続き、地域の医療圏において当院に求められる役割を果たすとともに、収益については診療報酬上の各種加算の新規取得や拡充、効率的な病床運営による利用率の改善、不足する分野における医療従事者の確保などを図ること、費用については材料費の削減・縮小や委託業務の見直しなど、収益強化・費用削減に向けた複合的な取組を推進していく。