経営の状況について
収益的収支比率は、平成24年度から平成27年度においては100%を超えていたが、平成28年度においては100%を下回っている。一方営業収支比率は過去5年間100%を超えており平成28年度は平成27年度より数値が改善されている。このように営業収支比率が100%を超えているのに対し、収益的収支比率が100%を下回ってしまった要因は、平成28年度における一般会計への操出金が多額となったことが挙げられる。「剰余金の使途」において示したとおり、平成28年度をもって電力事業に関する特別会計を廃止したことから、当該特別会計における剰余金のすべてを一般会計に操り出ししたことにより、総費用が増加し収益的収支比率が悪化したものである。供給原価においては、全国平均が年々上昇しているのに対し、ほぼ一定の数値を保つことができている。上記の要因により総費用が増加となったが、既存施設の廃止等により自家用電力量の消費を抑えた結果であると考えられる。今後も売電単価の減少が見込まれる中で、収益を維持、改善していく取組を継続していく必要があると認識している。
経営のリスクについて
当該公営企業においてはごみ発電形式の発電所を2か所保有している。ごみ発電形式における各種指標のうち、設備利用率は概ね全国平均を超えており、経年比較でも改善傾向にある。しかし、資源エネルギー庁の「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告」にて設定されているバイオマス(混焼)の設備利用率70%とされており、15%程度開きがある状況である。ごみ発電はごみ処理量によって発電量が左右される特徴があり、発電量の減少が必ずしも効率的な運用ができていないことを意味するものではないが、よりよい設備利用のあり方を検討していく。FIT収入割合は全国平均を下回っているが、これはFIT認定を受けている発電所が1つのみであること等の要因によるものと考えられる。企業債残高対料金収入比率は、全国平均に比べ高い数値となっている。過去5年間において新規の借り入れを実行しておらず、企業債現在高は減少しているものの、料金収入の減少から当該指標の数値が高くなっているものと考えられる。今後も確実な償還を行っていくとともに料金収入の増加による償還財源の確保を目指した取組みが必要である。なお、当該公営企業における設備修繕はごみ焼却施設と併せ一般会計において行っていることから、修繕費比率は算出されない。
全体総括
収益的収支比率が平成28年度において100%を下回っているものの、平成28年度における特別な事情によるものであり、過去4年間や営業収支比率が100%を超えていることから考えると、経営の健全性は概ね保たれていると判断できる。しかし、企業債残高対料金収入比率が全国平均を上回っていること等を考慮し、将来の負担を増やさないためにも投資と財政のバランスを図りながら事業を推進する必要がある。なお、当市の電気事業については平成29年度より公営企業としては廃止し、一般会計の中で事業を継続している。