地域において担っている役割
土岐市病院事業は、土岐市立総合病院、土岐市老人保健施設やすらぎ、土岐市国民健康保険駄知診療所、訪問看護ステーションときめきから構成される。その中心を担う土岐市立総合病院は、土岐市及び瑞浪市の二次救急医療圏の基幹病院として地域の急性期医療、救急医療を担うとともに、回復期医療にも対応し、地域の方々が必要とする医療を提供している。また同院には、高齢者社会に対応するための老人保健施設やすらぎを併設し、令和元年度から医療、保険、福祉を総合的に提供するため、訪問看護ステーションときめきを開設した。
経営の健全性・効率性について
入院・外来ともに患者数が前年度より大幅に減少した。平成30年度から続く内科の受診制限や、常勤医師や看護師の退職による病棟の閉鎖などが、減収に影響したと考えられる。また、令和2年度から指定管理者制度を導入するにあたり、特別損失を計上したことから、当期純損失額が多額となった。そのため、①経常収支比率や④病床利用率は全国平均値等を大きく下回り、逆に③累積欠損金比率は全国平均値等を大きく上回る結果となった。
老朽化の状況について
令和元年度は、高度な治療・診断システムである核医学診断装置をはじめとする医療機器や、電子カルテシステムのネットワーク機器等の更新を行った。中には耐用年数を超えた医療機器等があるものの、その状態を見極めながら使用を続け、適切な更新を進めている。そうした更新をしているものの、①有形固定資産減価償却率や②器械備品減価償却率は全国平均値等を大きく上回り、近年は増加を続けている。計画的に更新をしているが、減価償却率が増えているため、機器の更新や新規購入への投資は少ない状況と考えられる。
全体総括
土岐市は住民にとって医療サービスの提供体制を安定的かつ中長期的に確保する観点から、将来的に隣接市内の二次病院との一院化を目指している。その準備段階として、令和2年度から指定管理者制度を導入し、隣接市内の二次病院と同じ管理者が、当院の経営を担う。同一管理者となることで、当地域の連携強化や機能分化を更に進めることができる。また、県内に多くの公的医療機関を開設しており、そのネットワークから人材の確保や、経営ノウハウを駆使した経営改善により、安定的な医療提供体制の確保が期待される。市は病院経営を直接行わなくなるものの、当地域において長期的に医療を提供できる体制づくりを引き続き進める。